太陽光・風力が化石燃料の代わりになる

 化石燃料の消費減少と再生可能エネルギー由来の電力増加を同時進行させることが、本シナリオの骨子だといえます。以下は、NZEシナリオにおける、由来別のエネルギー供給量(2022年比)の推移です。

図:IEAが示した2050年までのエネルギー供給のロードマップ(2022年比) 単位:EJ

出所:IEA(国際エネルギー機関)のデータをもとに筆者作成

 太陽光と風力由来のエネルギー供給が大きく増加することが想定されています。同時に、石炭、石油、天然ガスといった化石燃料が大きく減少することが想定されています。また、各分野で省エネが進み、世界全体としては、エネルギー需要がやや減少することが想定されています。

 天然ガスを燃焼した際に発生する二酸化炭素の量は、石炭や石油のそれよりも少ないとされているため、足元、特に石炭の代替として天然ガスが重用されている地域があります。

 ですが、NZEシナリオではこうした石炭の代替の天然ガスの消費をも削減することが、想定されているようです。こうしたことも含め、冒頭で述べたように、このシナリオは「非常に大胆」であると言えます。