株式投資で利回りを稼ぐ

 株式投資というと、「値上がり益ねらい」と思い込んでいる人が多いですが、少し発想を転換していただきたいと思います。今の日本株には、安定的に高い配当利回りが期待できる銘柄が増えているからです。

東証の平均配当利回りと長期金利(10年国債利回り)推移:1993年5月~2023年9月(26日)

出所:QUICK、ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成、2022年3月までは東証一部平均、2022年4月以降は東証プライム平均

 確かに、昔の日本株は配当ではなく値上がりを狙って買うものでした。1993年ころ、東証一部の平均配当利回りは1%もありませんでした。当時、長期金利(新発10年国債利回り)が5%近くあったことを考えると、株の利回りは低すぎて、話になりませんでした。

 ところが、その後、長期金利が下がり続ける中で、日本株の利回りは上昇し続けました。【1】株価が下落したことと、【2】日本企業が株主への利益配分を増やすようになったことが、利回り上昇の要因です。

 今、長期国債の利回りが低くなり過ぎたため、国債に投資する魅力は乏しくなりました。そこで注目されるのが、日本株の予想配当利回りの高さです。

 配当利回りから日本株を見直していい時代に入ってきました。東証プライムの平均配当利回りは9月26日時点で約2.19%ですが、個別銘柄で見ると、日本を代表する大型株で配当利回り3%前後の銘柄が多数あります。大型好配当利回り株から投資していくと良いと思います。

 ただし、一つ注意が必要です。株の配当利回りは、確定利回りではありません。業績が悪化して減配になれば、利回りが低下します。株価が大きく下がる可能性もあります。銘柄選択にあたっては、単に予想配当利回りが高い銘柄を選ぶのではなく、長期的に保有して減配になりにくい銘柄を選ぶことが大切です。

 9月26日時点で、予想配当利回り3.1%の三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)(株価1,310.0円、1株当たり配当金41円)、同2.8%のNTT(9432)(株価181.3円、1株当たり配当金5円)などが、長期投資に適した好配当利回り株であると私は判断しています。