複数のマイナス材料は消化可能、低バリュエーションで投資価値が顕在化
現地コード | 銘柄名 |
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00916 |
龍源電力集団 (チャイナ・ロンユエン・パワー) |
株価 | 情報種類 |
6.14HKD |
株価 企業情報 チャート |
風力発電の世界大手、龍源電力の株価は年初から、香港の主要株価指標の一つ「中国企業指数」をアンダーパフォームしてきた。複数の懸念材料を受けた投資家心理の後退が背景。BOCIは地域ごとに異なる再生エネルギーの電力価格制度の問題点を指摘。エンドユーザーの電気代節約にはつながらず、中国が再エネ普及を目指す上でもプラスにならないとして、再考の必要性に言及している。再エネ事業者にとってはこのほか、補助金の支給遅延や設備のリパワリング(経年劣化した設備の更新・アップグレード)絡みの減損がマイナス材料。ただ、同社の現在株価のバリュエーションはヒストリカルな底にあると指摘。2024-25年の利益見通しを11-14%減額修正し、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。同社株の魅力が高まり、再び投資選択肢の一つになったとしている。
同社株価のアンダーパフォームの原因は主に、【1】補助金支給の遅れ、【2】電気料金および電力ロス絡みの圧力、【3】リパワリング関連の減損損失――の3点。ただ、BOCIは【1】について、国内電力需要の予想以上の回復ペースが再エネ基金にプラスに働き、補助金支払いの履行にもプラスに働くとの見方。さらに、【2】に関する懸念は短期的であり、政策支援やUHV(超高電圧)ラインの建設、北部での需要増がプラスになるとみる。【3】に関しては、同社は2023年に、2024-25年に予想される計15億元のリパワリング減損引当金を計上済みであり、この先一段の減損リスクは限られると指摘。リパワリングを進めることで、長期的な収益成長の向上というメリットが期待できるとした。
一方、中国では2023年に計293GW規模の太陽光・風力発電所が新設されたが、これは記録的な数字。結果的に新設容量分の消化に短期的な圧力がかかり、2024年1-3月期には再エネ電気料金の値引き率と電力ロス率の上昇が報告された。需給要因だけでなく、再エネ電力の取引ルールが地域ごとに異なることも問題で、事業者が全国的な戦略を立てることが難しい状況にある。グリッドパリティ・プロジェクト(再エネ発電が国の補助金を受けずに石炭火力発電並みの価格で売電する事業)の大幅な増加と再エネ料金の低下は、必ずしも川下の消費者の恩恵にはつながっておらず、この件に関しては政策面での対応が必要というのがBOCIの見方だ。
BOCIは発電設備の新規導入量と電気料金に関する想定値をいずれも引き下げたのに伴い、2024-25年の予想純利益を11-14%減額修正した。ただ、現在株価は2024年PER(株価収益率)で約6倍、調整後PBR(株価純資産倍率)で0.6倍と、過去最低の水準にあると指摘。一段の下値余地は限定的で、かつリスク・リターン比も魅力的であるとし、株価の先行きに対して強気見通しを示している。