日経平均、34年ぶりの最高値更新から調整局面へ

 日本株市場が揺らいでいます。今年に入ってからの日経平均株価の推移を振り返ると、年初から上昇を続け、2月に34年ぶりの史上最高値を更新。3月頭には初の4万円台を突破しました。

 4月に入ると、調整局面に。中東情勢の緊迫化や米株安などの影響を受け、4月19日には前日比1,011円安の3万7,068円をつけました。

 さらに、連休明けの5月7日は反発し、3万8,835円と3週間ぶりの高値水準をつけました。

 ここ数カ月にわたる歴史的な株価の上昇と下落を受け、個人投資家はどのような行動に出たのか。さまざまなスタイルの投資家に聞いてみました。

ようこりんさんプロフィール

テレビや雑誌などのメディアでも活躍する優待&割安(バリュー)株投資家。2005年に株式投資を開始し、主婦業のかたわら1億5,000万円の資産を築く。投資情報や日々の暮らしを発信するブログ「ほんわかようこりん」を運営。ほぼ毎日更新している。
投資歴:18年
保有資産のメイン:国内株式
ブログ:ほんわかようこりん
X:ようこりん(@CDNFusxnupI6X1w)

足元の下落相場、どうすれば?

 まずは、足元の下落相場をどのようにみているのか聞いてみました。

※以下のアンケートは、2024年4月24日に実施しました。

日本株相場が急落しています。足元の市場環境をどのように受け止めていますか。

 日経平均が今年に入って史上最高値を超えましたね! これから調整やら、○○ショックやらが起きて株価が下落する場面も多々あるかもしれませんが、長期では株は上向きしか考えられません!

日本株の下落を受け、資産配分や投資手法の見直しなど、現在の運用方針を変更するお考えはありますか。

 まずは、今の急落はたった6カ月間で日経平均が1万円も上がったことの調整だと思います。なぜなら、日経平均というのは採用された225の銘柄だけで動いており、寄与度で調べると、たった10社以下の株価の変動が日経平均の半分以上を動かしていると考えられるからです。「51%以上を動かすということは100%を動かしている!」という考え方があります。

 なので、私は今まで通り割安(バリュー)銘柄を見つけて、長期で投資し、高くなったら売ってまたバリュー銘柄を探して買っていこうと思っています。

下落相場で気を付けていることを教えてください。

 下落相場の前から、いつも気を付けているのは企業業績などのファンダメンタル分析と株価チャートです。ファンダメンタルが割安で手元資金が潤沢な「キャッシュリッチ」企業であるなら、下落相場はチャンスです!

 しかし、成長株のように超割高でチャートも「登れない坂」になってしまったら、下落が来る前に売ってしまう場合が多くあります。

 今年は、日経平均採用銘柄のうち寄与度が高い銘柄や、半導体銘柄が急上昇した場合が多く、バリュー銘柄がゴロゴロしています。急落時でも、そんなバリュー株は下がりにくかったりします。そういう銘柄に乗り換え、長期でゆったりと構え、もっと安くなれば買い増ししていくだけです。

 もともと株というのは、安くなったら「え!こんなに安く買っていいのですか!」と下げを喜べるような銘柄に投資するべきだと思っています。

上昇相場で買った株・売った株は?

 一方、1~3月の上昇相場では、何を考え、どのような投資行動に出たのでしょうか。売買した株や、投資戦略について聞いてみました。

※以下のアンケートは、2024年3月上旬に実施しました。

日経平均の上昇に伴い、1~3月までに売買した代表的な銘柄について教えてください。

売った銘柄

 1月12日、高千穂交易タカラトミーニチリョクを売却

 いずれも割高な水準になったからです。分散投資の私にとっても、特にタカラトミーは主力級! 10年程前から581円平均で2,000株保有していましたが、株主優待の条件が1,000株でよくなったことを受けて2,400円台で500株売りました。明日にでも2,600円台で500株売り予定、残り1,000株は保有継続の予定です。

 高千穂交易は2021年7月に1,100円台で買い増ししていましたが、たった2年で4倍近くになった上にPER(株価収益率)も28倍。バリュー株の代表だったのに高過ぎると思い、全部売りました。

 ニチリョクのように株価水準が低い「低位株」もご縁があると売買しています。2022年2月に124円で買い、株価チャートでデッドクロス※を形成したのをサインに427円で全部売りました。

※デッドクロス…株価チャートで、短期線が長期線を上から下に突き抜けること。株価の上昇が止まりこれから下落するかもしれない、という売りサインの一つ。

 3銘柄しか紹介していませんが、私の投資手法は分散投資のタダ株作りにトレードも入っていますので、本当はもっと細かく複数の株を売っています。今年はMBO(経営陣が参加する買収)も多くありました。MBOの発表があると株価上昇が期待できるため、何銘柄かはMBOを理由に売っています。

買った銘柄

 2023年12月から2024年2月までの期間に、チェンジホールディングスを主力級に買っています。

 ふるさと納税のプラットフォーム事業を主力の一つに手掛けており、直観的にこれからも続く事業だと思うし、業績も最高益なのに安いからです!

※編集注:チェンジHDのその後について、追記いただきました。(2024年5月6日)
 しかし、その後の思いがけないアマゾンのふるさと納税参入により3分の1までに減らしました。損切になりましたが、株の世界において期待がハズレた時には、潔く負けを認めることも大変大事だと思っています。それでも、チェンジHDは割安には違いないので3分の1は残した次第です。
 チェンジHDを売って戻った資金で、他の銘柄をいくつか買いました。
 いずれも割安かつ優待もしくは配当も良いと思い、ウェルス・マネジメントは3月に、他2社は4月に少しずつ買いました。この中では特にビジョンが業績も良いので、さらに、買い増し予定です。

今購入を検討している、注目銘柄を教えてください。

第一興商ファンケル

「有名な会社が安かったら買っておけ!」という気持ちが私には強くあります。実際に業績も悪くないのですでに少し買っていますが、この先も安くなるなら喜んで買い増します!

日本株の上昇を受け、資産配分や投資手法の見直しなど、現在の運用方針を変更するお考えはありますか?

運用方針は変更しない!今まで通りに日本株です!

「日本株の上昇には過熱感がある」という声もあり、確かに違和感のある株は売っていますが、これだけ日経平均が上昇しても東証グロース市場250指数は10年チャートだと底値圏です。

 グロース市場にかかわらず、「そのチャートと連動している銘柄で内容の良い会社」が、私がこれから買いたい銘柄となる!と言っても過言ではないと思います。

 現在、日経構成銘柄のPERは16倍台で「割高だ!」と言う方も多いのですが、構成銘柄の寄与度は上位2社だけでおよそ30%を占めています。

 従って、特に寄与度の高い銘柄だけがバブルだと思います。