1-3月期の低迷を経て受注が急回復、5月以降の持続可能性に注目

現地コード 銘柄名
02015

理想汽車

(リー・オート)

株価 情報種類

109.40HKD
(5/9現在)

 株価
 企業情報
 チャート

 中国の新興EVメーカーの理想汽車について、BOCIは5月の納車台数の回復を見込むが、月間5万台レベルを回復するには、まだ時間がかかるとみている。1-3月期には粗利益率が約20%で安定推移する半面、固定費の高騰で純利益は前年同期比横ばいの9億元になると予想。一時的にフリーキャッシュフローがマイナスに沈む可能性を指摘した。納車台数の回復ペースが見通しにくく、市場予想との乖離(かいり)も大きいため、短期的には同社株価が大きく変動する可能性があるとしながらも、長期視点では独自の製品理念や高価格帯市場における戦略的なポジショニング、迅速な問題対応能力を高く評価。2024年予想PER(株価収益率)25倍を当てはめて目標株価を引き上げ、株価の先行きに強気見通しを継続した。

 3月以降に低迷していた受注台数は4月後半に急回復し、5月月間では3万5,000-4万台に上る見込み(4月は2万6,000台)。ただ、2023年12月に記録した5万台の月間納車台数記録を塗り替えるには、まだ時間がかかるとみられる。

 1-3月期には価格競争が激化する中で、製品の切り替え時期を迎え、旧シリーズ「L」と新型モデル「2024L」「MEGA」の価格調整に手間取ったが、新型モデルの寄与で、平均販売価格は前四半期並みで推移する見込み。ただし、2023年下期以来の値下げにより、前年同期比では10%を超えて下落する可能性が高い。

 粗利益率は1-3月期に約20%で推移するとみられるが、車両当たりの利益率は新モデルを対象とした一部払い戻しキャンペーンの影響を受ける可能性がある。また、同社は4月22日、最新の「L6」モデルを除く全車種の希望小売価格を引き下げた。

 経営計画と納期との乖離や継続的なコストの発生で、営業費用の対売上高比率が一時的に19-20%に上昇する可能性がある(前年同期は18.6%、前年通期は16.4%)。BOCIはそれでも、受取利息やその他収入の寄与で、1-3月期の純利益が前年同期比ほぼ横ばいの9億元になると予想。非GAAPでは14億-15億元を見込む。

 1-3月期にはまた、納車台数の前四半期比約40%の減少を受けた在庫の増大や北京工場の初期費用が響き、フリーキャッシュフローは一時的にマイナスになる見込み。ただ、4-6月期以降の生産台数の回復を受け、早めにプラスに転じる可能性が高い。

 同社は3月下旬、2024年の販売目標を56万-64万台に下方修正したが、目標達成には月間5万台以上が必要。BOCIは同社が目標達成に向けて努力すると予想する半面、2024-25年の販売台数見通しを53万台、73万台に引き下げた。これに伴い予想売上高を20-21%減額し、1,550億元、2,100億元に設定。2024-25年の非GAAPベースの予想純利益を25-30%引き下げ、137億元、173億元とした。5月以降も受注や売上高の回復トレンドが持続するかが最大の焦点になるとの見方。投資家の信頼はまだ弱く、仮に利益率や戦略面で下方修正があれば、すぐにセンチメントに影響する可能性があると説明した。