「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第26回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。
小型成長株の見つけ方
私はファンドマネージャー時代、小型成長株を見つけるために、私は成長が期待される分野の企業をなるべくたくさん取材して投資企業を選別していました。年間100社以上の企業を取材して投資先を選んでいたこともあります。
私は、成長株として投資を実行する前に、三つの条件をチェックしていました。三つの「高い」が満たされれば、成長株として「合格」と判断します。今日のクイズは、成長株を評価するための三つのポイントを当てるクイズです。
今日のクイズ:成長株の3条件はどれでしょう?
今日は、私が成長株を見つけるためにチェックしていた三つの条件を当てるクイズです。成長株を見つけるための三つの条件に入るものは、どれでしょう? 以下【1】、【2】、【3】、【4】、【5】の中から、三つ選んでください。
No | 評価項目 | 高い/低い |
---|---|---|
【1】 | 過去3年の株価上昇率 | 高い |
【2】 | PER(株価収益率) | 高い |
【3】 | 市場の成長性 | 高い |
【4】 | 市場シェア(占有率) | 高い |
【5】 | 市場への参入障壁 | 高い |
出所:筆者作成 |
(注)
【2】PERとは
PER(株価収益率)=株価÷(1株当たり利益)、株価の割安度を測るための指標。一般的に倍率が高いと株価は割高、倍率が低いと割安と判断する。
【3】市場の成長性とは
会社が展開しているビジネス(市場)の成長性のこと。
成長株投資が面白い時代に
21世紀になり、第4次産業革命といわれる経済の構造変化が急速に進んでいます。これに伴い、20世紀とは違う、新しい成長企業がたくさん現れるようになっています。
20世紀には、製造業で世界トップに立つことが、成長企業となる条件でした。なぜならば、20世紀は、「モノ」の豊かさを求めて人類が努力した時代だったからです。生活を豊かにするモノを開発し、いち早く安価に大量生産する技術を確立した製造業が、成長した時代でした。
ところが、21世紀に入り、状況は変わりました。製造業で稼ぐのが難しい時代になりました。モノは人気が出て一時的に不足しても、すぐ大量供給されて、価格が急落するようになりました。製造業では、韓国、台湾、中国および日本企業が、利益度外視の過当競争を繰り返すようになってしまいました。
このように、モノが余る時代となる中、恒常的に不足しているのが良質なサービスです。医療、介護、保育、防犯、警備、教育、宅配ドライバー、熟練建設工など、良質なサービスが不足している分野はたくさんあります。サービスは、モノのように工場で大量生産することができないので、人手不足が続く中、良質なサービスは恒常的に不足するようになりました。
そこで、良質なサービスを安価に大量供給する仕組みをつくった企業が、21世紀の高成長企業になります。人間にしかできなかった良質なサービスをITで安価に大量供給する仕組みをつくった企業が高成長企業となりました。
EC(電子商取引)は、リアル店舗をつくるコストを省き、インターネットを通じて、小売サービスの量産を可能にしたものです。小売だけでなく、金融、医療サービス、人材あっせん、コンサルティング、教育、測量、旅行手配、予約サービスなどさまざまな分野で、リアルをネットが代替する時代となりつつあります。
今後、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット化) 、5G(第5世代移動体通信)、ロボットや、その応用分野(自動運転・フィンテックなど)から、21世紀の成長企業が多数出てくるでしょう。