米国株より日本株のパフォーマンスが勝ると予想する理由

 日本株が割安で、長期的に良い買い場との投資判断は変わりません。インフレ率・金利の高止まりが続く米国は、株の上値が重くなる可能性がありますが、日本株は、相対的に堅調に推移すると考えています。日本のファンダメンタルズ(景気・企業業績・株価割安度)は、米国よりも相対的に良好と考えているからです。

 日本も、インフレ率高止まり、金利上昇が見込まれる経済環境となってきました。ただし、日本の方が金利が低く、日本株の方がイールドスプレッド(利回り面において、株式や債券などの有価証券の魅力度を比較する際の指標)が大きいことから、日本株のパフォーマンスが米国株を上回る状況が続くと予想しています。

日本株と米国株のイールドスプレッド比較:2023年9月22日時点

出所:楽天証券経済研究所が作成

 日本株にとって追い風となるのは、インフレ率の上昇によって、日本の名目GDP(国内総生産)の伸びが高くなりつつあることです。日本の2023年(暦年)の名目GDPは、IMFによると5.2%成長と予測されています。バブルの余韻が残っていた1991年以来の高い伸びになる可能性があります。

日本の名目GDP、年別の成長率:1981~2023年(IMF予測)

出所:IMF「世界経済予測」より楽天証券経済研究所が作成

 長年にわたってゼロ・インフレに苦しんできた日本企業にとって、普通に値上げができる経済になった恩恵は極めて大きいです。名目GDPの成長拡大が、今後4~5年にわたり、日本株の追い風となると予想しています。

 時間分散しながら少しずつ割安な日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。

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