一貫して「国連改革」を主張
「BRICSプラス」の歴史は、20年くらいに収まります。例えばNATO(北大西洋条約機構 西側の軍事同盟)の結成が1949年、OPEC(石油輸出国機構)が1960年だったことを考えても、歴史は浅いといえます。しかし、20年程度の歴史の中に、今後の彼らの方針、引いては世界情勢に影響し得る大きなヒントがあります。以下は、首脳会議の声明の抜粋です。
図:BRICs(S)およびプラスの首脳会議の共同声明(一部抜粋)
BRICSの首脳会議は2009年以降、毎年行われています。これらの会議の際に公表される共同声明を確認すると、ほぼ同じ文言が毎年盛り込まれていることがわかります。「国連改革(reform of the UN)」についての記載です。2009年にはじまり、2015年、2020年を境に、改革への語気がだんだんと強くなってきていることがわかります。
2010年ごろ(2009年前後)は、欧州諸国が中心となり脱炭素の機運が高まったタイミングでした。2015年はロシアがクリミア半島(ウクライナ)を併合したことを機に、G8から除名された年の翌年でした。そして2020年はウクライナ危機が勃発した年でした。
以前の「原油高とSDGsの深遠な関係」で書いた通り、西側が「脱炭素」を急速に進めたことによって非西側は「置き去り」にされ、世界各地で分断が深まった、そしてウクライナ危機が「後戻り防止装置」になってしまったと、筆者は考えています。
2010年ごろから、こうした動きが目立ったわけですが、その間、上図のとおり、非西側の主要国であるBRICSは結束を強めて、一貫して国連改革を提唱していました。途上国の声を国連の会議の場に届け、議論するためです。今回の6カ国加入も、結束を強めるための一環だと言えるでしょう。それだけ国際会議の場に、非西側の声が届いているのだと考えられます。