穀物・エネルギー需給を揺るがす

 BRICSプラスは、以下のとおり小麦の消費量、原油の生産量ともに、G7を大きく上回っています。人口増加を背景にBRICSプラスで小麦の需要が急拡大し、世界全体の需給バランスが引き締まる(先進国でも供給不安が発生する)可能性があります。

 同時に、何らかの要因(ウクライナ危機起因の供給障害や異常気象など)で供給不足におちいった場合、政情不安が発生しやすくなるリスクが高いことを意味します。政治的・経済的な影響力が大きいグループでリスクが拡大した場合、つながりの深い先進国に連鎖的なリスクが及ぶ可能性があります。

図:BRICSプラスとG7の小麦消費量 単位:100万トン

出所:FAOのデータより筆者作成

 また、BRICSプラス11カ国中、4カ国が減産を実施しているOPECプラスに属するなど、世界の多くの原油供給を担っています。国連での発言権などをめぐり西側と対立が深まった場合、(BRICSプラス内の主要産油国がOPECプラスに入るなど)「減産強化」というカードが切られる可能性があります。

図:BRICSプラスとG7の原油生産量

出所:EIのデータをもとに筆者作成

 本レポートで触れた米大手金融機関のレポート「Building Better Global Economic BRICs(より良い世界経済を築く BRICs)」に、興味深い記述があります。G7内の欧州に属する国をまとめた上で、BRICsの4カ国を追加し、「G9」を作ることが、グローバルな政策決定をより効果的にする、としています。

「BRICSプラス」の考えを傾聴することが、グローバルな政策決定を効果的にし、多くの国際問題を解決させるきっかけになることを、20数年前のレポートが示唆しています。

 西側と非西側がお互いを認め合う状態にならない限り、コモディティ市場では各所で需給ひっ迫懸念が残ると考えられます。

[参考]コモディティ関連の具体的な銘柄

投資信託

iシェアーズ コモディティ インデックス・ファンド
ダイワ/「RICI(R)」コモディティ・ファンド
DWSコモディティ戦略ファンド(年1回決算型)Aコース(為替ヘッジあり)
DWSコモディティ戦略ファンド(年1回決算型)Bコース(為替ヘッジなし)
eMAXISプラス コモディティ インデックス
SMTAMコモディティ・オープン

ETF

インベスコDB コモディティ・インデックス・トラッキング・ファンド (DBC)
iPathブルームバーグ・コモディティ指数トータルリターンETN (DJP)
iシェアーズ S&P GSCI コモディティ・インデックス・トラスト (GSG)