ナスダックの業績見通しは復調傾向にある
8月から秋にかけて米国株や世界株の調整が続く可能性があります。一方、米国市場で注目したい動きもあります。ナスダック相場の中核を担うビッグセブン(大手テック株)の4-6月期決算の発表とガイダンス(業績見通し)はおおむね市場予想に沿う堅調なものでした。
一部の事前予想や期待が高かったことで、決算発表を契機に利益確定売りが広まった例もみられました。ただ、ビッグテックの堅調なガイダンスで、ナスダックの業績見通しは改善傾向にあります。
図表2は、2020年初を起点にS&P500ベースとナスダック100指数ベースの12カ月先予想EPS(1株当たり利益)を巡る市場予想平均の推移を示したものです。
利上げの累積効果や景況感の鈍化を消化してS&P500ベースの予想EPSが底入れしつつある一方、ナスダック100指数ベースの予想EPSは「生成AI」を中心とするイノベーションやリストラ効果期待を反映して復調傾向を鮮明にしています。
今後、8月24~26日に開催されるジャクソンホール・ミーティングで予定されるパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演や次回FOMC(9月19~20日)で金融政策を巡るサプライズがない場合、政策金利の打ち止め期待が再浮上。
利上げ長期化懸念が後退をきっかけに、業績拡大見通しを評価してナスダックが復調に転じる可能性がありそうです。ナスダック相場が元気を取り戻せば、市場平均(S&P500)も復調傾向を再開する可能性も高くなります。
筆者としては、秋から年末までの戻り(年末高)を想定し、S&P500の年末予想値(メインシナリオ)は「4,600」に据え置いています。株式が夏枯れ相場に直面している時間帯の投資戦略としては「長期投資」の基本姿勢を崩さず、押し目買いや積み増し買いを検討することが合理的であると考えています。
<図表2>ナスダックの12カ月先予想EPSは復調傾向