筆者はなぜ「売るべき」と考えているのか

 筆者は、どんなに将来有望と思っている銘柄であっても、ルールに従い、株価が下落したらいったん売却しています。

 それは前回のコラムでお伝えした「個人投資家が絶対に避けるべきことは塩漬け株を作ること」と深く関係しています。

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 至極単純な話、株価が下がっても株を持ち続けるから塩漬け株が生じてしまうわけで、株価が下がったら売ってしまえば塩漬け株が生じることはありません。

 だから筆者は「塩漬け株を絶対に作らない」と心に強く決めているため、株価が下落したら売却しています。

 売却する際は、利食い売りとなることもありますし、損切りとなることもあります。でも、ルール通り動くだけなので利食い売りだろうが損切りだろうが関係ありません。

 このとき、「利食いは問題ないが損切りは必要ない」というアドバイスをされる方もよく見かけます。その根拠としては、長い間持ち続ければ株価は上昇に転じるため、それを待って含み損がなくなって含み益に転じてから売却すればよい、というものでしょう。

 しかし、前回のコラムでお伝えしたように、長い間持ち続けた結果、株価が上昇せずにさらに大きく下落してしまい、多額の含み損を抱えた塩漬け株になってしまって、もはやどうすることもできなくなることは多々あります。

 筆者が株価が下がったら売る最大の理由は、塩漬け株を作らないようにすることですから、損切りを実行することこそ最も重要なのです。

なぜ「下がったら売るべき」なのか

 筆者は、保有株が25日移動平均線を割り込んだら売るという原則的なルールを定め、それに則り行動をしています。

 その時々のシチュエーションにより多少ルールに変更はありますが、買値から下がり続けているのにダラダラ持ち続けるということはしません。

 逆に、株価が上昇している間は基本的には売却せず保有し続け、できるだけ利益を伸ばすように心がけています。株価急騰時などは上昇途中に一部売却することもありますが、原則としては25日移動平均線を割らない限りは保有を続けるようにしています。

 ではなぜ、株価が上昇している間は売らずに持ち続け、株価が下がったら売却するようにしているのでしょうか。

 これも極めて単純な話で、株価が上昇している間は機関投資家や外国人投資家といった大口投資家が買っている可能性が高いので、その流れについていくべきなのです。

 逆に株価が下落しているときは、大口投資家が売っている可能性が高いので、我々個人投資家もその流れに逆らわず、いったん売却した方が安全と考えているのです。

 株価を動かし、トレンドを形成しているのは外国人投資家を中心とした大口投資家です。彼らの動きに逆らっていてはまずうまくいかないと思います。

 株価が移動平均線を割り込んで下降トレンドに転じたら売るようにすれば、大口投資家と同じ行動を取ることができる可能性が高いはずです。

「下がったら売る」は必ずしも利益の最大化にはならない

 上で述べた通り、筆者は株価が下がったら売る最大の理由は、塩漬け株を作らないためです。

 では、「下がったら売る」を実践すれば、それが利益の最大化にもつながるのでしょうか?

 実は必ずしもそうではありません。

 例えば株価が下がったから売ったら、その後突然株価が急騰して買い直すことができなくなってしまうこともあります。売らずに持ち続けていたら急騰にも乗ることができたのに、それができなくなってしまうのです。

 また、株価が横ばいの動きとなっているときは、株価が下がったから売る→再び上がったから買う、の繰り返しになり、損切りが続いて小さな損失が積み重なってしまいます。

 このようなこともよくありますから、もしかしたら、下がっても売らないで保有を続ける方が、トータルでみて利益を最大化できるかもしれません。

 でも筆者がそれをやらないのは、裏目に出た場合、つまり株価が下がり続けたときの損失が大きくなったり、塩漬け株を大量に抱えて身動きが取れなくなることこそ絶対に避けたいからです。

 下がったら売るという行為は、「大きな損失を避ける」「塩漬け株の発生を防ぐ」というのが最大の目的であり、決して「利益を最大化する」のが目的ではないことに十分ご留意ください。

 筆者は、「利益を最大化できるかもしれないが損失が膨らむかもしれない」手法より、「利益は最大化できない可能性が高いが損失をできるだけ最小限に抑えることができる」手法を選びます。

「売るべきか持ち続けるべきかどうしたら良いですか?」ではなく「売っておく」

 正直に申し上げて、株式投資についてのアドバイスをする専門家の中には、コンプライアンス上の理由も含め、ご自身で身銭を切って投資していない方も多数います。

 あるいは、株式マーケットが好調な時しか株式投資の経験がないため、自身でも気づかぬうちにリスクの高い行為を勧めてしまっているというケースもよく見かけます。

 株が下がったら持ち続けるべきというアドバイスをする専門家の多くは、おそらくご自身で株式投資をしていないか、たまたま株価が上昇基調でうまくいった経験しかないのではないかと思います。

 専門家に「売るべきか持ち続けるべきかどうしたら良いですか?」と質問をすると、おそらくさまざまな回答が返ってきます。専門家により考え方もバックボーンも違うからです。

 でもそれでは聞いたご自身がますます混乱してしまうだけです。

 筆者は身銭を切って投資していますが、その立場からいえば、株価が下がっても持ち続けるべきとは、口が裂けても言うことができません。なぜなら、株価が下がっても持ち続けることこそが、塩漬け株を助長し、個人投資家が株式投資での失敗につながる最大の要因となってしまうからです。

 株式投資は、自身で決断しなければ成功しませんし実力もつきません。そして「売った方が良いですか?持ち続けた方が良いですか?」と将来のことを聞かれても、正確に将来を予測することなど誰もできません。

 それであれば、大きな損失を避けることができるようなルールを決め、株価が下がったらとりあえず売っておく、と決めてしまった方が安全ですし、行動もしやすくなるはずです。

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