金利上昇の要因となったインフレは減速を続けるか
前週の債券市場では、政策金利の動向に敏感とされる2年国債利回りが一時4.9%を上回り、長期金利(10年国債利回り)は一時4%を超えました。最近の雇用関連指標が底堅さを示したことやFRB高官によるタカ派発言が要因です。
先物市場では今月FOMCでの追加利上げを9割方織り込んでおり、9月や11月のFOMCでの追加利上げの可能性もいったん視野に入れました。FRBの追加利上げ姿勢に、市場の見通しが追従した格好です。
ただ、インフレ指標の動きにより、金融当局のタカ派姿勢が和らぐ可能性もあります。図表2は、12日に発表された6月・CPIの前年同月比伸びを示したものです。
6月のCPI総合指数の伸びは+3.0%に減速し(5月は+4.0%)、エネルギーと食品を除くコアCPIの伸びも+4.8%に減速しました(5月は+5.3%)。CPI総合指数の伸びは12カ月連続で減速しました。
一方、NY連邦準備銀行は10日に6月の消費者動向調査の結果を公表。消費者の「1年インフレ期待率」は3.83%と5月の4.07%から低下したことを明らかにしました。3カ月連続の低下で2021年4月以来ほぼ2年ぶりの低水準でした。インフレ期待の低下はエネルギー価格の下落が主要因と考えられます。
このようにインフレ関連指標の伸びが落ち着くと、FRBの利上げ長期化観測が後退し、債券市場金利は落ち着きを取り戻しやすくなります。債券市場金利の落ち着きは、予想PER(株価収益率)が比較的高いナスダック相場の安定につながりそうです。
金利のピークアウト感が強まれば、一時的な需給の緩み(例:上述したナスダック100指数のリバランス売り)を消化しつつ米国株式の復調傾向を支えるものと期待されます。