欧米市場で進む「逆イールド」は不安要因
株式相場の地合いが悪化すると、市場は不安材料に目を向けます。欧米市場の「逆イールド進行」もその一つです。インフレの上昇が続く中、先週は欧州でイングランド銀行などが利上げを実施し、米国ではパウエルFRB議長が議会証言などの場でタカ派姿勢を示唆しました。
欧米で金融引き締めの流れは続いており、景気後退の兆候とされる逆イールドが(日本を除く)先進国で広がっています。債券は通常、満期までの期間が長いほど利回りが高くなります。期間が短い国債と長い国債の利回りが逆転した状態は「逆イールド」と呼ばれ、将来の景気後退、インフレ低下、中央銀行による利下げなどを予兆するサインとみなされます。
図表2は、欧米主要国(米国、英国、ドイツ)の債券市場における長短金利差(10年債利回り-2年債利回り)の推移を示したものです。欧米の中央銀行は、インフレの根強さを受け金融引き締めを続けざるを得なくなっています。結果として、将来の景気への影響が不安視されています。
例えば、米国市場の長期金利(10年債利回り)は現在3.707%、短期金利(2年債利回り)は4.709%で推移。長短金利差は▲1.00%と歴史的な低水準に至っています(28日)。6月14日に公表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)メンバーの予想中央値は、米国経済が底堅く推移し、景気後退入りを回避できそうな見通しを示しました。
ただ、追加利上げを示唆するタカ派姿勢を印象付けたことで、先行きの景気を押し下げる「オーバーキル」(過度の利上げが経済を下振れさせる現象)を株式市場が不安視している可能性があります。