米国株の長期総収益は約30年で19倍超

 このような米国株のシナリオに沿い、株価が短期的な調整に直面した場合はどのような投資戦略が有効となりそうでしょうか。

 図表2は、米国株式(S&P500)、世界株式(MSCI世界株価指数)、日本株式(TOPIX[東証株価指数])それぞれの総収益指数(配当込みトータルリターン指数)の推移について、約30年前(1993年初め)を100とし、それぞれのパフォーマンスを比較したものです。

 株式市場は時折下落することはありますが、中でも米国株式(円建て)のトータルリターンが優勢で、約30年間で19.4倍に上昇してきたことが分かります。同期間における「世界株式(円)の10.7倍」、「日本株式の2.6倍」を大きく上回る市場実績です。

 じっくりと長期で投資を続けていれば、株式投資の成果には、株価上昇(キャピタルゲイン)に加え、配当(インカムゲイン)も加わるため、いずれも総収益は上昇しています。

 S&P500はこうした比較で振り返ると、リスク(リターンのブレ)を加味した長期リターンの大きさで「世界最強の株価指数」と評価されるにふさわしいと思われます。

 もちろん、これからのトータルリターンがどの程度になるかを正確に言い当てることは困難です。ただ、S&P500が現水準(4,200ポイント台)を起点にして年率10%程度で成長していく軌道を想定すれば、「今後2年で5,000ポイントに到達する」との見込みが試算できます。

 長期投資を前提とする戦略に立てば、当面想定される幾度かの株価調整に直面した場合は「押し目買い」や「積み増し買い」に分があると考えています。

<図表2>米国株の総収益(円)は約30年で19倍超となってきた

(出所) Bloombergより楽天証券経済研究所作成(1993年初~2023年5月末)