積立投資の長期実績をあらためて検証する

 前週に5月を終えた時点で、長期視点に立った「米国株への積立投資(定時定額投資)の効果」を市場実績で検証したいと思います。図表3は、約30年前の1993年初めに3万円を米国株(S&P500総収益指数/円換算)に投資し、その後も毎月末に3万円ずつを継続的に投資してきた場合をシミュレーションしたものです。

 1993年初めから366回の定時定額(積立)投資を実践すると、累計投資額は簿価ベースで1,098万円(=3万円×366回)となりました。

 この間における「ドルコスト平均法」と「複利運用」(雪だるま)の効果で、投資元本の時価評価額は約7,538万円に膨らんできました(2023年5月末時点)。これは、時価評価額が累計投資額(累計投資元本)の約6.87倍に成長してきたことを示します。

 過去30年の間には、ITバブル崩壊(2000年)、リーマン・ショック(2008年)、コロナショック(2020年)、インフレショック(2022年)などに伴う株価下落がありました。

 また、為替市場でもドル/円相場が乱高下した場面も時折ありました。長期投資を実践する間に株価や為替が大きく変動するケースは珍しくありませんが、長期で振り返ると円換算した米国株が預貯金はもちろん確定利回り証券や日本株を大きく上回り、資産を増やすことができたことが市場実績で検証できます。

 時としてリスクが顕在化して株価や為替が下落しても、各年の上昇による長期的な累積で吸収された結果が見て取れます。米国株に定時定額投資を続けた場合の資産形成効果を再認識し、今後の指針にしたいと思います。

<図表3>米国株への長期積立投資効果を検証

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(1993年初~2023年5月末)

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