ナスダック100は「半値戻しは全値戻し」を示唆

 米国市場ではナスダック100指数の堅調が目立っています。図表2は、2021年初を起点としたナスダック100指数とS&P500の推移を示したものです。

 ナスダック100は2021年11月19日に付けた過去最高値(終値)から2022年12月28日の安値まで約35%下落しましたが、現在は下げ幅の半分以上を取り戻し、「半値戻しは全値戻し」を期待させる水準となっています(5月31日)。

「半値戻しは全値戻し」とは相場格言で、下落幅の半分まで戻った銘柄や株価指数は上昇(回復)の勢いが強く、もとの高値まで戻す可能性が高いというものです。下落幅の5割以上を戻しているナスダック100指数にも今後の回復を期待したいところです。

 特に米国市場で「壮大なる7銘柄」(The Magnificent Seven)と呼ばれ、本稿では「ビッグ・セブン」と称している時価総額上位銘柄群の株価堅調が鮮明です。

 ビッグ・セブンを構成するGAFAM(アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ)にエヌビディアとテスラを加えた7銘柄の年初来上昇率はS&P500(市場平均)はもちろんナスダック100の年初来上昇率を上回っています。中でも、米半導体最大手のエヌビディアの株価は年初来で174%上昇し上場来高値を更新。

 その時価総額が一時1兆ドル(約140兆円)に達して注目されました(5月30日)。米国の企業で時価総額が1兆ドルに到達したのは、GAFAMやテスラに次ぐ7社目で、半導体企業としては初のケースとなります。

 文章や画像を自動で作る生成AI(人工知能)への取り組みが世界で拡大する中、AI向け半導体で約8割のシエアを握るとされるエヌビディアは前週発表した決算とガイダンス(業績見通し)が市場予想を上回り株価が急上昇しました。2023年のこれまでのナスダック堅調は、イノベーション期待が相場をけん引する「AIラリー」とも言えるでしょう。

<図表2>ナスダック100は下落幅の半分以上を戻した

(出所) Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2021年初~2023年5月31日)