中国政府の現状認識「国内需要は明らかに不足」

 これらの統計結果を受けて、国家統計局は現状と先行きに関して次の見解を示しています。

「4月、国民経済は引き続き回復の態勢を見せており、前向きな要素は蓄積、増加している。しかし、外部の環境は依然複雑で厳しく、国内の需要は依然として明らかに不足している。経済が回復するための国内インセンティブも弱い」

 短いですが、情報量に富んだ文言だと私は理解しました。欧米の景気低迷や金融不安、ウクライナ戦争など地政学リスクを含めた外部の環境が中国経済に与える悪影響を軽視できないという認識は従来の立場を踏襲するものです。特筆すべきは、国内の需要が「明らかに」不足しているという指摘。足元、需要不足が相当深刻である現状を物語っています。

 また、景気を回復させるために必要な中国国内におけるインセンティブも弱い、すなわち投資、消費、生産を含めて、新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に抑え込もうとする「ゼロコロナ」策解除後も、景気回復は不透明であり、市場の期待値と実態の間には一定程度のギャップが存在しているのが現状ということでしょう。

 中国政府は3月の全人代で、2023年の経済政策として「安定成長」「内需拡大」を最優先事項に掲げ、積極的な財政政策と穏健な金融政策を必要に応じて稼働させていく立場を表明しています。足元、景気が想定に比べて回復してきていない状況を受けて、中国政府は財政出動や金融緩和といった手段を小刻みに行使しつつ、景気を刺激していくものと思われます。