米国高配当株1:テルニウム(TX)

 メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、コロンビア、米国南部、中米に事業所を持つ中南米の大手平鋼メーカーで、法人設立はルクセンブルクとなっています。

 自動車、家電、HVAC(Heating, Ventilation and Air Conditioning)、建設、資本財、コンテナ、食品、エネルギー産業で事業を展開する顧客向けに高付加価値の鋼材を幅広く提供しています。

 時価総額は85億ドルで、日本円で約1兆1,000億円となっています(1USD=133円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は「製鉄事業(steel)」で、続いて「マイニング事業(Mining)」となります。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

「製鉄事業」では、スラブ、熱間・冷間圧延製品、塗装製品、ロールフォーミング・管状製品、ビレット、バーなどの鋼材の製造・加工・販売を行っています。

 また、「マイニング事業」では鉄鉱石とペレットを中心とした鉱業製品の販売を含み、テルニウムが100%の持分を保有する鉄鉱石鉱山会社Las Encinasの鉱山活動と、テルニウムが同じ持分を維持する別の鉄鉱石鉱山会社Peña Coloradaが行う事業で構成されています。

競合他社

 競合他社として、カナダを拠点とする会社で、カナダに事業所を構える熱間および冷間圧延鋼製品を総合に製造する会社であるアルゴマ・スティール・グループ(ASTL)、鉄鋼および鉄鋼製品のメーカーであるニューコア(NUE)、鉄鋼加工と金属製品製造に特化した産業用製造会社であるワージントン・インダストリーズ(WOR)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初の水準を3割程度上回って推移しており、配当は2021年より再開されています。

 昨年秋に鉄鉱価格などが下落したこともあり、一時期大きく株価が下落しましたが、その後の資源価格回復に伴い再び株価も回復してきています。

 会社側もUSMCA (the United States-Mexico-Canada Agreement)地域の鉄鋼価格が上昇することで、自社の利益率が変動するとしており、徐々に回復する鉄鉱価格を背景に、株価も昨年の高値まで回復できるか注目です。

業績動向

 2023年2月14日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を下回りました。しかし、ある程度業績の悪化が織り込み済みだったこともあってか、決算を受けて株価は上昇しています。

 会社側も、売上の主要地域であるメキシコで国内産業用市場の需要が改善しつつあるとともに、過去の設備投資によって新たな鋼材を生み出すことが可能になったと発表しています。また、2023年も、前四半期の売上は顧客からの注文が季節的に減少するため緩やかなものになると会社側は予想しており、後四半期での業績回復が期待されます。

 次回2023年4月25日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるかどうかに注目です。

注意点

 配当が年2回のため、米国株で多い年4回配当ではないことと、配当金が5月は多いのですが11月は少なくなる点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:2.7ドル
配当利回り:6.38%
株価:42.29ドル(約5,600円)

 この銘柄、権利落ち日は5月4日(権利実施は5月15日)です。

 配当利回りは417日時点で10.64%、株価は42.29ドルでおよそ5,600円から購入できます(1USD=133円計算)。

 2020年からの最高値は56.19ドル、最安値は9.84ドルとなっています(終値ベース)。

米国高配当株2:エイゴン(AEG)

 オランダの金融業界で最も有名な企業の一つであり、三つの中核市場(米国、英国、オランダ)、三つの成長市場(スペイン・ポルトガル、ブラジル、中国)においてAegonとTransamericaのブランドで事業を展開する企業です。

 各国地域の市場に合った商品やソリューションを、生命保険、年金、退職金、資産運用を通して提供しています。

 時価総額は95億ドルで、日本円で約1兆2,600億円となっています(1USD=133円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は「米国事業(Americas)」で、続いて「英国事業(United Kingdom)」、「オランダ事業(The Netherlands)」、「国際市場事業(International)」、「資産運用事業(Asset Management)」となります。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

「Americas」では、生命保険、投資、退職金ソリューションのリーディングプロバイダーであるTransamericaを中心に事業を展開し、「United Kingdom」では、英国におけるプラットフォーム事業および伝統的な保険事業を展開しています。

株式の注目ポイント

 株価は年初の水準を1割程度下回って推移しており、昨年は増配しています。

 先月上旬のシルバーゲート銀行、シリコンバレー銀行、シグネチャーバンク、クレディ・スイス銀行と続いた金融不安により、エイゴンの株価も1割程度下落し、現在も1割安程度で推移しています。

 そのような状況下ですが、業績は比較的好調で、会社側は業務改善プログラムの効果が表れていることから、2022年を通して6億2,700万ユーロの営業利益となり、予想より1年早く目標の5億5,000万ユーロを上回ったと発表しています。

 また、2023年6月のCapital Markets Dayにおいて、業務効率のさらなる改善と、商業的な勢いを加速させる計画を含む、当社の戦略の最新情報を提供する予定としており、それによって今後の株価回復が期待されています。 

業績動向

 2023年2月9日開示の四半期決算では、売上は市場予想通りで、1株利益は市場予想を下回りました。

 1株利益は市場予想を下回ったものの、これはオランダの保険事業を同業ASRに売却することによって、オランダの保険事業を売却目的保有に分類した結果による減損損失が反映された結果です。

 しかし、それを除けば営業損益は、保険金支払実績の改善、業務改善プログラムの効果、米ドル高により、不利な市場環境を補って余りある4%の増加となっています。2023年6月のCapital Markets Dayにおける発表内容に沿って、今後業績が回復することが期待されます。

 次回は2023年5月17日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるかどうかに注目です。

注意点

 配当を受け取るときは、EURとUSDの為替レートによって変動する点と、年4回ではなく年2回配当である点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:0.22ドル
配当利回り:4.96%
株価:4.53ドル(約600円)

 この銘柄、権利落ち日は5月26日(権利実施は6月29日)です。

 配当利回りは417日時点で7.28%、株価は4.53ドルでおよそ600円から購入できます(1USD=133円計算)。

 2020年3月からの最高値は6.20ドル、最安値は1.88ドルとなっています(終値ベース)。