議論分かれる3月CPIの見方

 米労働省が12日に発表した、3月の米CPI(消費者物価指数)は見方が分かれます。3月の総合インフレ率(CPI総合指数の前年同月比上昇率)は5.0%へ低下しました。2月時点の6%から一気に1.0ポイントも低下しました。これで、米インフレ沈静化がはっきりしてきたとの見方が出ました。

米インフレ率(CPI総合・コア指数前年比上昇率)推移:2020年1月~2023年3月

出所:米労働省より作成

 ただし、中身を見ると、さほど評価できるものではないという見方もあります。総合インフレ率は5.0%まで低下しましたが、コア・インフレ率(CPIコア指数の前年同月比上昇率)は5.6%と高止まっているからです。

 総合インフレ率が大きく低下したのは、ちょうど1年前の2022年4月にエネルギー価格が大きく上昇した反動にすぎません。エネルギー要因を除くと、米国内にしぶとくインフレ要因が残っていることが、コア指数の高止まりから、わかります。