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才能は拡張できないが、縮小を防ぐことはできる

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 BLS(米労働省労働統計局)が4月7日に発表した3月の雇用統計は、NFP(非農業部門雇用者数)が23.6万人増えて、予想(24.0万人)とほぼ一致した。ヘルスケアやレジャー部門をはじめとした広範囲の業種で雇用が旺盛で、引き続き堅調な結果となった。

 失業率は3.5%で、前月より0.1ポイント低下。米国の雇用市場は、働きたい人がほぼ全員仕事に就くことができる「完全雇用」に達したといわれる。平均労働賃金は前月比+0.3%、前年比+4.2%。

 雇用統計より前に発表されたJOLTS(雇用動態調査)求人件数やADP雇用データ、そして新規失業保険申請件数などがいずれも弱い内容で、今回の雇用統計も予想を下回るのではないかと危ぶまれていた。ところがふたを開けてみるとNFPは予想とほぼ一致、失業率や平均労働賃金は予想以上で、雇用市場の相変わらず強さをアピールする結果だった。

 FRB(米連邦準備制度理事会)がインフレ上昇の大きな原因として雇用市場の過熱を指摘するなかで、3月も非農業部門雇用者数は昨年の月平均の20万人増を超えただけではなく、パウエルFRB議長が目指す「月10万人程度」の2倍以上になった。

 FRBは来月のFOMC(米連邦公開市場委員会)会合で「予想通り」利上げをするとの見方が強まり、金利市場のFOMCの5月利上げ予想確率は70%まで上昇している。これを受けFX市場では全般的なドル買いが起きた。金利上昇は一般的に株式市場とってはマイナス材料。しかし今のマーケットの関心の中心はインフレから、リセッションに切り替わっているため、「利上げをしなくてはいけない」から、「利上げができる」という理由で株式市場は上昇した。

 もっとも、FRBが懸念するのは賃金の急騰であって、雇用の増加ではない。今回の雇用統計が示す「雇用が増えて賃金が下がる」状況は、米国経済がハードランディング(景気後退)を回避して、ソフトランディング(景気減速)に向かっているサインであり、株式市場にとっても良い事だという解釈になっているようだ。

 なお、3月の雇用統計の詳しい解説は、詳細レポート「「人口ピラミッドの呪い」か? いくら利上げしても雇用市場の過熱が止まらない!」をお読みください。

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出所:楽天証券作成