ナスダック100指数は復調傾向をみせている

 苦境に陥った米地方銀行の救済や預金の保全などが公表されると、「金融危機」に発展するとの懸念はひとまず後退しました。市場の混乱は徐々に収まり、市場センチメントが改善する中で米国市場ではナスダックの復調も鮮明となっています。

 図表2は、2018年初を起点としたナスダック100種指数、S&P500種指数、ラッセル2000小型株指数の推移を示したものです。ナスダック100種指数はナスダック総合指数の時価総額上位100社(金融を除く)で構成される株価指数で、昨年はFRB(米連邦準備制度理事会)による金融引き締めと債券市場金利上昇を受けて下落を余儀なくされました。

 しかし、昨年12月28日に付けた安値からは2割以上上昇しており、定義上では「強気相場」(上昇トレンド)入りのサインを示唆するに至りました。同指数の年初来騰落率は+18.5%となっており、S&P500(市場平均)の+6.5%より優勢となっています。

 一方、景気敏感性が高いといわれる小型株(ラッセル2000指数)の年初来騰落率は▲0.5%と劣勢を余儀なくされていることがわかります(4月5日時点)。

<図表2>ナスダック100指数が戻り歩調を示している

出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2018年初~2023年4月5日)

 図表2は、安定して現金(フリーキャッシュフロー)を稼ぐ力が高く、銀行不安に端を発する「貸し渋り」や景気鈍化に直面しても財務面の不安が少ないナスダック大手企業に投資マネー(資金)が流れていることを示しています。

 また、長期金利が3.3%に低下するなど債券金利が低下した動きを反映しハイテク・グロース株のバリュエーションが見直された可能性もあり、ナスダック100種指数の相対的な復調を支えている可能性もあります。