米国高配当株5:キンダー・モルガン(KMI)

 北米最大のエネルギーインフラ企業の一つです。天然ガスの輸送、貯蔵、販売、集荷、加工、処理を中心とする中流サービスを展開しています。

 地上や地下、もしくは海底面や海底面下に設置されるパイプラインで天然ガス、再生可能燃料、石油精製品、原油などの輸送を行い、積出しや受入れの拠点であるターミナルではガソリン、ディーゼル燃料、再生可能燃料原料、化学品、エタノール、金属、石油コークスなどさまざまな商品を取り扱っています。

 時価総額は390億ドルで、日本円で約5兆3,000億円となっています(1USD=136円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は「天然ガスパイプライン事業(Natural Gas Pipelines)」で、続いて「ターミナル事業(Terminals)」、「パイプライン開発事業(Products Pipelines)」、「排出権取引(CO2)」、となります。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

 「天然ガスパイプライン事業」では天然ガスの輸送、貯蔵、販売、集荷、加工、処理、および各種LNGサービスを、「ターミナル事業」では石油精製品、化学品、再生可能燃料、および石油コークス、金属、鉱石の全施設の運営を行っています。

競合他社

 競合他社として、カナダを拠点とするエネルギー輸送および中流サービスを提供する会社であるペンビナ・パイプライン(PBA)、北米のミッドストリームサービスのプロバイダーであるタルガリソース(TRGP)、エネルギーインフラストラクチャ企業であるウィリアムズ・カンパニーズ(WMB)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初の水準を少し下回って推移しており、配当は5年連続で増配しています。

 2022年は自社株買いを行い、増配を行うことで積極的に株主還元を行っています。また、2023年1月18日には自社株買いプログラムの自社株買戻し権限を20億ドルから30億ドルに増額することを承認しており、今年も引き続き自社株買いが予定されています。

 会社側はキンダー・モルガンの未来は明るく、私たちが提供するサービスは、排出量の多い燃料の代替となる天然ガス、再生可能天然ガス、再生可能ディーゼルなどの低炭素エネルギーサービスで今後も長く必要とされるでしょうとしており、堅調な業績からこの高い配当利回りが長期で続くと予想すると、NISAでの保有を検討してもよい銘柄ではないでしょうか。

業績動向

 2023年1月18日開示の四半期決算では、1株利益は市場予想を上回りましたが、売上は市場予想を下回りました。しかし、1株利益・売上ともに前年同期比を上回っております。

 会社側はエネルギー安全保障に対する懸念が高まったことで、米国の液化天然ガス(LNG)輸出部門にスポットライトが当たっており、LNG施設からの需要が今後数年で倍増すると予測しています。

 次回2023年4月19日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。

注意点

 寒波や暖冬によって天然ガス輸送量は変動し、天候による業績への影響があることには注意が必要です

株価動向、配当利回り紹介

配当:1.11ドル
配当利回り:6.47%
株価:17.14ドル(約2,300円)

 この銘柄、権利落ち日は4月下旬の予定(権利実施は5月中旬)です。

 配当利回りは310日時点で6.47%、株価は17.14ドルでおよそ2,300円から購入できます(1USD=136円計算)。

 2020年からの最高値は22.24ドル、最安値は9.98ドルとなっています(終値ベース)。

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