米株下落の理由(2)シリコンバレー銀破たん

 10日、信用不安で株価が急落していたシリコンバレー銀行の破たんが発表されました。同銀行の2022年末総資産は約2,090億ドルで全米16位、米銀で過去2番目の規模の破たんとなりました。

 破たんの原因は、米金利急騰です。FRBによる急速な利上げが破たんにつながったことは明白です。ただ、金利上昇に対する備えのないシリコンバレー銀行【注】の経営に問題があったと言えます。

【注】シリコンバレー銀行が金利上昇に脆弱(ぜいじゃく)だった理由
 シリコンバレー銀行はテクノロジー関連の新興企業との取引で成長した銀行で、新興企業がベンチャーファンドから集めた資金が預金として預けられていた。

 新興企業への融資も行っていたが、預金が大きく融資が少なかったため、デュレーション(平均償還期間)の長いMBS(モーゲージ債)や米国債などの有価証券に積極投資していた。債券投資にのめりこんでいたため、2022年末で保有するMBSや米国債の額が預金の7割弱を占めており、金利上昇で急速に含み損が拡大して財務が悪化した。

 シリコンバレー銀行の信用不安が明らかになってから、預金の取り付けが集中し、破たんにつながった。FDIC(米連邦預金保険公社)が保護する預金額の上限は25万ドルだが、それを超える額の預金をしていた新興企業が多かったため、預金の引き出しが集中したと考えられる。

 金利の急上昇が、大型の銀行破たんにつながったことから、株式市場では、連鎖破たんが起きないか、さらに金利が上昇上昇するのではないか、などの不安が強まり、金融株が売られて大きく下がりました。FRBは、シリコンバレー銀行の経営破たんを受け、米国に拠点を置く銀行の資金繰りを点検するための緊急調査を始めた模様です。