高配当を最優先、優待はおまけ程度でいいなら、この優待株! 

 株主優待株が優待制度を廃止すると、個人投資家の失望売りで株価が急落するのが一般的です。

 しかし、配当利回りが7%近いJT(日本たばこ産業)(2914)や業績好調なオリックス(8591)は、株主優待制度の廃止を発表したあとも、逆に、配当増額や自社株買いなど、株主優待以外の株主還元策への期待感から株価が上昇しています。

 つまり、同じ優待株でも「株主優待はおまけ」と割り切り、あくまで株主配当最優先で銘柄を選ぶ方法もあるということ。

 そうすれば、突然の優待廃止による株価急落リスクを減らせるだけでなく、好業績や積極的な株主還元に対する期待感から株価上昇にも期待できるでしょう。

 そこで、楽天証券の「株主優待検索」で40万円以下で買える3月優待株を人気順で検索。

 企業名をクリックすると移行する「国内株価検索 株価」欄の「企業情報」内に記載された前期2022年3月期の配当利回りが5%以上の銘柄を探しました。

 高値つかみを避けるため、同「国内株価検索」の「業績」タブをクリックして、今後の業績が有望そうかもチェック。

 配当利回りが驚きの5%超に達し、今後も株価の上昇に期待できそうな優待株を厳選しました。

配当利回り11%超!高配当優待株の王様は商船三井(9104)

 コロナ禍による物流網の混乱でコンテナ船の船賃が高騰し、空前の好業績に沸いているのが商船三井、日本郵船といった海運株です。

 中でも驚異的な高配当株といえるのが商船三井(9104)

 配当利回りは前期実績で11.05%※。

 今2023年3月期はコンテナ船事業に加えてタンカー、自動車運搬船事業も活況で、1株あたりの配当金を400円から560円に増額しています。

 そのため、2023年3月期の予想配当利回りはなんと15.47%※に到達。

※配当利回りは前期の実績値や今期の会社予想値を2023年2月24日の株価の終値で割って計算。以下同

 100株(投資金額36万2,000円※)保有するだけで、年間5万6,000円の配当金。20.315%の税金を源泉徴収されても4万4,624円の手取り配当がもらえる計算になります。

※投資金額は2023年2月24日の株価の終値から計算。以下同

 同社は株価上昇で個人投資家の株主が増えたこともあってか、2022年9月末から優待制度を拡充。

 100株保有すると、3月・9月末に客船「にっぽん丸」の旅行代金が10%割引になる優待券2枚。

 新たに9月末株主には、「さんふらわあ」の国内フェリー運賃が5,000円割引となる優待券1枚が贈られるようになりました。フェリーの就航区間は、大洗~苫小牧、大阪~別府など4航路です。

 年利回り15%超の高額配当を考えると、保有株数が多ければ、配当金と株主優待割引だけで、豪華なクルーズ旅行代金やフェリー料金を全額払ってしまうのも夢ではありません。 

 海運株のコンテナ船事業の船賃は米国や中国の経済正常化で下落傾向のため、今後は株主配当の減配や株価の下落リスクがある点には十分、注意が必要です。

 しかし、世界的インフレが続く限り、当面は船賃高騰への期待感で株価の上昇が続きそうです。

配当利回り11.05%(前期実績) 15.47%(今期予想)

配当利回り5%超の優待株はこの銘柄!

2.日本郵船(9101)

 同じく日本郵船(9101)も前期の実績配当の利回りが13.44%、今期の会社予想の配当金の利回りが14.19%と、商船三井に匹敵する高配当です。

 3月末に100株保有(投資金額35万9,500円)で、「飛鳥クルーズ」の料金が10%割引される優待券3枚が贈呈されます。

 同社は前期に続き、今2023年3月期の純利益が1兆円を超える国内海運のNo.1企業。

 単純に高配当な好業績株に投資して、安定した配当収益と株価の値上がり益に期待したいなら、商船三井以上に日本郵船のほうが魅力的かもしれません。

配当利回り13.44%(前期実績) 14.19%(今期予想)

3.JFEホールディングス(5411)

 鉄鋼会社はコロナ禍からの鉄鋼需要回復や自動車会社に対する鋼材価格の値上げ要求が認められた前期の2022年3月期に空前の好決算をたたき出しました。

 日本製鉄に次ぐ鉄鋼国内2番手のJFEホールディングス(5411)もその一角。

 前期の2022年3月期決算は前々期の赤字から、目の覚めるような黒字転換を果たし、株主配当も前々期の1株10円から140円に大幅増額されました。

 一気に高配当株の仲間入りを果たし、前期実績の配当利回りは8.27%に上昇。今期予想配当利回りも4.73%に達しています。

 今2023年3月期は価格高騰による鉄鋼需要の落ち込みや在庫評価損などもあって増収減益となりそうです。

 会社予想の配当金は前期比60円減配の1株あたり80円(3月末株主の配当金は30円予想)。

 しかし、中国経済の再開で鋼材需要が引き続き高止まりするという思惑から株価は堅調に推移しています。

 同社の優待は100株(投資金額16万9,300円)以上で3月・9月末に国内工場を見学できる抽選権。

 株主以外に1名まで同伴可能で、最寄りの集合・解散場所までの交通費は自費となります。

配当利回り8.27%(前期実績) 4.73%(今期予想)

4.スクロール(8005)

 優待内容がそれなりに充実していて、配当利回り5%超の小売り関連の優待株はなかなか見つかりません。

 そんな中、前期の配当実績が8.13%、今期の予想配当利回りも5.55%に達するのが、生協向けカタログ通販のスクロール(8005)です。

 前期、今期はコロナ禍による巣ごもり需要という特需の影響を受けているため、この高配当利回りが今後も続く保証はありません。

 ただ自己資本比率が61%に達する高財務、PBR(株価純資産倍率)1倍を下回る株価の割安さ、生協宅配事業の会員に対する通信販売というコア事業の盤石さを考えると、株価の下落リスクは少ないといえるでしょう。

 同社の株を3月末に100株保有 (投資金額7万9,300円)していると、1,000円分の株主優待ポイントが贈呈され、食品、化粧品などグループ商品購入の際の割引に利用できます。

 1年以上継続保有で500円分、2年で1,000円分、3年以上で1,500円分の優待ポイント増額特典もあります。 

配当利回り8.13%(前期実績) 5.55%(今期予想)

5.長谷工コーポレーション(1808)

 5位は、マンション建設会社の長谷工コーポレーション(1808)

 前期の実績配当利回り、今期の予想配当利回りともに5.12%です。

 同社の株を3月・9月末に100株(投資金額15万6,300円)保有していると、 子会社が扱う「たなかみ米」10kgなどが20%割引になる食品割引優待が贈呈されます。

 また3月末株主には、100万円以上の室内リフォーム工事代金(税抜)が3%割引、子会社の不動産売買の仲介手数料(税抜)が10%割引になる特典もあります。

 同社はマンション建築で国内首位。ここ数年の業績は高水準で安定しています。

 今2023年3月期に続き、来期の2024年3月期も活況な不動産や分譲マンション市況を背景に増収増益が続きそうです。

配当利回り5.12%(前期実績) 5.12%(今期予想)