基礎知識(5)確定申告期日を過ぎても医療費控除の適用を受けられる

 確定申告書の申告期日は、例年2月16日~3月15日までです。2022年分の確定申告であれば、2023年2月16日~2023年3月15日となります。

 しかし、例えば確定申告の必要のない会社員であれば、医療費控除は還付申告となるので、2022年分の確定申告は2023年1月1日から提出が可能です。

 また、2023年3月15日を過ぎてしまっても、2022年12月末から5年後の2027年12月末まで提出することができます。

 これは過去の医療費でも同様で、例えば2018年分の確定申告書を提出していない方が、2018年分の医療費控除を受けたい場合は、2023年12月末までに確定申告書を提出すればよいことになります。

 事業所得、不動産所得や、株式の配当金・譲渡所得などがあり、確定申告をすでに済ませた後に、医療費控除の適用を追加で受けたい、もしくは医療費控除の申告をしたが追加で医療費の領収書が発見された…という場合は、更正の請求という手続きをとることになります。この場合の期限は、法定申告期限の5年後となっています。

 ですから、2022年分の確定申告を行った後、医療費控除を追加で受けたい場合は、2028年3月15日までに更正の請求を行えばよいことになります。

 このように、通常の確定申告書の提出期限が過ぎてもあわてることはありませんが、期日はありますから忘れないうちに早めに手続きをしておくのがよいでしょう。

基礎知識(6)どの年の医療費控除になるかは実際に支払った日付で判定

 2022年の年末に病院から医療費の請求書をもらったが、支払いは翌年2023年となった場合、この医療費は2022年に含めるのか、それとも2023年のものか、どちらになるのでしょうか?

 正解は、「2023年の医療費」です。医療費控除は、請求書の日付ではなく、実際に支払った日の属する年がいつかにより判定されます。

 ですから、レアケースではありますが、2022年に支払った医療費がすでに医療費控除の限度額である200万円を超えていて、2022年末に医療費の請求が来た場合、2022年中に支払うとその分は全く医療費控除を受けられなくなります。

 そこで、もし可能であれば2023年の支払いに回すことで、2023年分の医療費控除の枠を使うことができます。

 それ以外にも、何らかの理由で翌年の医療費控除の対象にしたいという場合は、年が明けてから支払う、という対応を取ることができます。

 この点に関連し、クレジットカードで年末近くに医療費を支払った場合はどうなるのか?という疑問を抱く方もいらっしゃるかもしれません。年末にクレジットカードを使った場合、引き落としは翌年になってしまうからです。

 結論から申し上げると、クレジットカードを使った日が属する年の医療費控除の対象となります。例えば2022年12月29日にクレジットカードで医療費を支払った場合は、2022年の医療費控除に含めることになります。

 税金の知識というのは、知らないと税金の納付漏れとなってしまうケースと、知らないと余計な税金を払ってしまうケースがありますので、いずれのケースにも陥らないように、最低限の知識は持っておくようにしてくださいね。