先週のNYダウ、ナスダックをチェック

図4 NYダウ(日足)とMACDの動き(2023年2月24日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週末2月24日(金)のダウ工業株30種平均(NYダウ)終値は3万2,816ドルでした。前週末2月17日(金)終値(3万3,826ドル)からは1,000ドルを超える下げ幅となり、株価水準を一段階切り下げています。

 最近までのNYダウは、上値は3万4,000ドルの節目、下値は50日移動平均線がサポートとして機能していたのですが、先週の値動きでこれが崩れてしまったほか、下段のMACDも「0ドル」ラインを下抜けてしまった格好です。

 目先の焦点として、200日移動平均線あたりで下げ止まれるか、もしくは、昨年10月安値と11月高値を起点とするギャン・アングルの「4×1」ラインを維持できるかが注目されます。

図5 ナスダック(日足)とMACDの動き(2023年2月24日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 ナスダック総合指数(ナスダック)も前週から下落しましたが、こちらは25日移動平均線と200日移動平均線に挟まれた範囲内での推移となり、積極的に下値をトライする動きにはなっていません。

 とはいえ、直近の株価の上値は、昨年8月高値と10月安値を起点とする下向きのギャン・アングルの「8×1」ラインに抑えられ、微妙に「ダブル・トップ」を形成しているようにも見え、上の図5にはネックラインとして想定される水平ラインを描いてみました。

 一般的に、ダブル・トップを形成後にネックラインを下抜けると、株価が下落しやすいとされていますが、足元の株価はネックラインを下抜けた後に、戻りをトライしつつも抜けきれない状況となっています。さらに、このネックラインは先週の上値を抑えた25日移動平均線とも重なっています。

 仮に、このままネックラインを抜けきれなかった場合、「リターン・ムーブ」と呼ばれる格好で下げが加速する展開もあり得るため、シナリオの選択肢として残しておく必要がありそうです。その場合、50日移動平均線や、ギャン・アングルの「4×1」ラインなどが下値の目安になります。

 前回のレポートでも述べたように、現在の相場環境は、「インフレ&景況感のスピード感と、金融政策への思惑」という市場の論点自体に変化がない中、最近までの株高の前提(そこそこの景気後退とインフレ鈍化による、早期の米金融政策の利下げ転換期待)に揺らぎが生じ、新たな相場シナリオを再構築している局面にあると思われます。

大きく動くなら「ブラックアウト期間」後

 先週の米国株市場では、大手小売業のウォルマート(WMT)や、半導体企業のエヌビディア(NVDA)などの企業決算、1月個人消費支出(PCE)などの経済指標が注目材料となっていました。

 とりわけ、PCEの物価指数(コア)が前年比でプラス4.7%という結果となり、前回(プラス4.6%)から加速したほか、予想(プラス4.4%)よりも強かったことで、インフレの鈍化ペースが緩慢であることが確認され、週末の米国株安につながりました。

 米国では今週も、2月分のISM(米サプライマネジメント協会)景況感指数(製造業&サービス業)などの経済指標が公表されるほか、ターゲット(TGT)ロウズ・カンパニーズ(LOW)といった米小売業の決算などが予定されています。

 ただし、より注目度が高いとされる、2月雇用統計が3月10日(金)、2月CPI(消費者物価指数)は3月14日(火)、2月小売売上高は3月15日(水)といった具合に、これらの公表が来週以降となっているため、今週はイベントに向けた調整というのがメインシナリオになりそうです。

 ちなみに、次回のFOMC(米連邦公開市場委員会)は3月21日(火:日本は祝日)~22日(水)にかけて開催されますが、開催される2週間前の土曜日から「ブラックアウト期間」に入ります。

 ブラックアウト期間とは、金融政策決定会議に参加するメンバーが発言を控える期間なのですが、昨年あたりから、このブラックアウト期間中にメディアを通じた観測リーク記事が報じられて、FOMCが開催される前に株式市場が大きく反応することが増えています。

 そのため、株価が「次の展開」を迎えるのは来週末以降になるかもしれません。