2022年の中国経済3.0%増。目標を下回る

 国家統計局は、人口推計と同時に、2022年の主要経済統計結果を発表しました。中国政府は昨年3月の全国人民代表大会(全人代)で同年の経済成長率目標を「5.5%前後」に設定していました。その後、中国経済は新型コロナウイルスの感染を抑え込む「ゼロコロナ」策、特に徹底したロックダウン(都市封鎖)などの影響を大々的に被り、低迷しました。四半期ごとに、4.8%増、0.4%増、3.9%増と推移していましたが、新型コロナの感染拡大もあり、2022年10-12月期も劇的な回復は期待できないというのが大方の見解でした。私自身、2023年1本目のレポートで、2022年の実質成長率は「3%前後に終わる見込み」という予測を示しました。

 ふたを開けてみると、2022年10-12月期の成長率は2.9%増、2022年通年は3.0%増となりました。コロナ禍で急減速した2020年(2.2%増)は上回りましたが、2021年の8.4%増からはあからさまに低迷したことになります。その他の指標を見てみましょう。

 小売売上高は0.2%減で2020年以来のマイナス成長。固定資産投資は5.1%増でしたが、不動産開発投資は10.0%減という二桁マイナス成長。工業生産は3.6%増で、2021年の9.6%増から大きく低迷。CPI(消費者物価指数)は2.0%上昇しましたが、政府が「インフレターゲット」に設定していた3%には届かず、欧米日を含めた先進国が歴史的インフレに見舞われる中、中国経済の「異質性」が浮き彫りになりました。低いインフレ率に対してはさまざまな解釈ができますが、低成長が一つの原因であることは論をまちません。統計局は「物価は全体的に安定している」と自信をのぞかせますが、今年の動向を注視すべきでしょう。

 足元(2022年12月)の調査失業率(農村部除く)は5.5%(25~59歳4.8%;16~24歳16.7%)で比較的安定しているように見受けられますが(2022年の都市部における新規に創出された雇用人数は1,206万人で目標の1,100万人を超えたとの発表)、物価と同様、雇用を巡る動向は、中国政府が社会の安定という観点からも政治的に重視している分野であり、引き続き予断を許さない状況が続くでしょう。