米国市場の予想ROEは世界最高水準

 投資対象市場を検討する際は、成長期待やバリュエーションだけでなく「資本効率」も比較したいと思います。長期実績の観点で米国株式のリターンは日本株式など「米国を除く世界株式」よりも優勢に推移してきました(図表1)。

 その主要因として米国市場のROE(株主資本利益率=自己資本利益率)の高さに注目したいと思います。図表2は、主な株式市場別の予想ROE(MSCI指数ベースの市場予想平均)を比較したものです。

 米国市場の予想ROEは22.0%と他市場を圧倒しており、このことがバリュエーション指標である予想PER(株価収益率)や予想PBR(株価純資産倍率)を押し上げているとみなされています。

<図表2:米国株式の予想ROEは国際比較で最高>

*上記はMSCI指数をベースに予想ROE(株主資本利益率/市場予想平均)を比較したものです。
(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2022年12月末)

 一方、日本市場の予想ROEは8.9%と国際的に低いことがわかります。これが、日本市場の予想PERや予想PBRを低位に押しとどめている主因とされています。米国市場の中でROEが高いセクターをみると、IT(情報技術)、消費財サービス、生活必需品、ヘルスケアなどが全体平均を引き上げています。

 株価のブレはあっても、株主資本に対する利益率の相対的な高さも世界の投資マネーを引き付けやすい米国株式の魅力と言えるでしょう。また、米国がエネルギーや農業の世界的な一大供給国であること。総人口や労働人口が増え続けていること。米国がイノベーション(技術革新)と資本主義経済の進展における中核を担っていく流れに変化はないと思われます。

 日本居住者からみた「分散投資」として、米国株式をコアに据える投資戦略は今後も主流を担うと思われます。資産形成において、米国への長期積立投資を実践し続けることを検討したいと思います。