政治経済の安定に残る不確実性

 昨日、日本のあるエコノミストから次の問題提起を受けました。

「中国がゼロコロナ政策をなし崩し的に止めてしまった感じの報道が続いているが、かなり突然かつ大胆な動きで、民衆はついていけるか? 医療体制は本当に大丈夫なのか?」

 同様の質問を、日本や海外の企業家からも受けている今日この頃ですが、至極まっとうな懸念であると私も思います。3年もの間、感染者数ゼロが政治的に正しい、そのために、仕事、生活、余暇においてあらゆる制限が敷かれるのが当たり前だった中国国民が、「新常態」に適応していけるのかどうか。

 仮に、規制緩和後、新規感染者数が一気に拡大した場合(ここ数日の新規感染者数は、12月10日:1万815人、11日:8,838人、12日:7,679人と減少傾向にある)、どのような事態が起こるのか。大幅な緩和から、三度のロックダウンといった大揺れの措置が打ち出されれば、国民は堪忍袋の緒を切らすでしょう。そういう潜在的リスクに対し、習近平指導部はどう備えているのか。少なくとも、依然として不確実性は残ると見るべきでしょう。

 平時であればのべ30億人以上の「民族大移動」が起こる旧正月(春節:2023年は1月22日)も、感染拡大リスクという意味で、注意を要する時期になるでしょう。