中国「改革開放」の窓口となってきた香港で大幅に緩和へ

 12月13日、中国の特別行政区である香港でもさらなる規制緩和が打ち出されました。李家超(ジョン・リー)行政長官は、香港への入境者に従来科してきた、バーやレストランといった一部施設への立ち入りが制限される「黄色」のコード対象を14日から外すと発表。使用が義務化されてきたコロナ追跡アプリも廃止するとのことです。

 2020年、コロナ禍で国家安全維持法が採択されて以降、社会主義制度を取る中国本土で堅持されてきた「ゼロコロナ」政策に追従する政治的立場を取ってきた資本主義社会・香港の、国際金融センター、アジアのビジネスハブとしての地位と役割が疑問視されてきました。中国本土をほうふつとさせるような規制が敷かれるような場所でもはやビジネスなどできないと判断した企業が、シンガポールにアジアのヘッドクォーターを移転するようなケースも見られました。私が把握する限り、最も迅速かつ大胆に移転を決断、実行してきたのは中国企業に他なりません。

 香港政府が、お上である中国共産党に忠誠を誓わなければならないという立場と、その上で香港の従来の地位を守り、経済成長を確保していきたいという願望のはざまで揺れ、もがいてきた経緯は想像に難くありません。今後も、入境者には到着時とその後1回PCR検査が義務付けられますが、水際対策としてはほぼ規制が解除されたと言ってよく、シンガポールに続くように、香港へのビジネスなどの出張は勢いづく見込みです。