2023年が円高の年となるための二つ条件

 2022年のドル/円は大荒れでした。それでは、ここから来年のドル/円を展望してみます。

 2023年は、円高圧力が発生しやすくなると思っています。以下二つの条件のどちらか一つ、あるいは両方そろえば、円高トレンドに転換すると予想しています。

【1】日米2年金利差が縮小する思惑が広がること
【2】日米2年金利差が実際に縮小していくこと

 先に実現するとしたら、【1】思惑の変化です。これまで、あらゆる材料があり、日米金利差が開き続ける思惑を生んでいました。

 来年にかけて、少しずつ思惑が変わる可能性があります。以下があれば、思惑は変化します。

(1)パウエル議長のタカ派姿勢が緩むこと。先行き利上げペースを鈍化する、あるいは利上げを停止することを示唆する発言が出るかどうか(12月14日FOMC[米連邦公開市場委員会]後の記者会見に注目)

(2)黒田日銀総裁のハト派姿勢に変化が出ること。ほんのわずかでも、日本の長期金利上昇を容認する姿勢を見せると、市場のイメージは変わる可能性があります。ただ、私は、黒田総裁がそのように変化する可能性は、ほとんど無いと予想しています。

(3)米国のインフレ率が大きく低下すること

(4)米国の株価が一段と下落すること

(5)米国の景気が目に見えて悪化してくること

 上記にあげるいずれかが起こると、日米金利差が開き続ける思惑は消える可能性があります。そうなると、円安は止まり、徐々に円高に転じる可能性が生じます。

 ただし、2023年に上記2条件のどちらも実現しなければ、2023年も円安が続く可能性もあります。

 2023年も米景気・株価ともしっかり、米インフレは高止まり、米金利の上昇が続けば、2023年も円安が続く可能性はあります。私は、その可能性は低いと思っています。

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