米国高配当株1:ベスト・バイ(BBY)

 2022年時点で米国とカナダを中心に約1,100店舗の運営と10万人以上の従業員を抱える世界最大規模の家電量販店です。

 従業員への福利厚生にも非常に力を入れており、店舗におけるGMの離職率は約6%とコロナ発生以前よりも低く、フォーチュン誌やバロンズ誌などさまざまな媒体が設ける栄誉ある企業にランクインしています。

 時価総額は152億ドルで、日本円で約2兆1,300億円となっています(USD=140円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は「国内市場事業(Domestic)」で、続いて「国際市場事業(International)」となります。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

「国内市場事業」では全米でBest Buy、Best Buy Ads、Best Buy Business、Current Healthなどのブランド名で家電製品販売・健康関連サービスの提供を行っており、「国際市場事業」ではカナダにおいてBest Buy、Best Buy Mobile、Geek Squadのブランド名で事業を展開しています。

競合他社

 競合他社として、オンラインオークションや車両リマーケティングサービスの提供者であるコパート(CPRT)、レクリエーション農家や牧場経営者などの小規模企業のニーズに応えることに重点を置く米国の農場の小売店の運営者であるトラクターサプライ(TSCO)、化粧品、フレグランス、ヘアケア、スキンケア製品、および関連するアクセサリーやサービスの販売を行う美容小売業者であるアルタ・ビューティー(ULTA)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初の水準を下回って推移していますが、配当は8年連続で増配をしています。

 株価については、巣ごもり需要の反動で昨年と比べ業績が落ち込んでいることや、マーケット全体の地合いが悪いことも重なり、下落しています。

 しかし、2017年1月28日を基準にS&P500との値動きを比較すると、2022年1月29日まで毎年のパフォーマンスはベスト・バイのほうが勝っており、S&P Retailing Groupと比較しても優れた成績であるとベスト・バイは公表しています。

 今後、マーケットが落ち着き、業績が回復する局面となった際に、以前のように100ドル台まで株価が回復するか注目です。

業績動向

 2022年8月30日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。

 7月にベスト・バイが公表していた既存売上高の下落予想と、実際の決算の数値が事前予想の範囲内に収まったこともあり、会社側は業績がおおむね想定通り推移していると発表しています。

 需要が高まるオンライン注文に対応するため、注文の3分の1を1日で配送し顧客のニーズに応えるとともに、新規アウトレットストアのオープンや、ヘルスケア企業との新規契約などに取り組むことで、大きく落ち込んだパソコン関連製品やホームシアター関連の売り上げ減を補う取り組みをしています。

 今後は、在庫を注意深く管理するとともに、サプライチェーンコストの上昇にも対応し、この困難なマクロ環境を乗り越えていくと会社側も発表しており、第3四半期以降の業績回復が期待されます。

 次回2022年11月22日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。

注意点

 現在の配当水準は当初目標の配当性向を上回っていますが、この配当性向は長期的な目線でありすぐに配当を下げることは無いと会社側は発表しています。

 しかし、業績の悪化が続いた際には配当引き下げの可能性もある点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:3.52ドル
配当利回り:5.23%
株価:67.30ドル(約9,400円)

 この銘柄、権利落ち日は12月中旬予定(権利実施は1月上旬予定)です。

 配当利回りは11月9日時点で5.23%、株価は67.30ドルでおよそ9,400円から購入できます(1USD=140円計算)。

 2019年からの最高値は138ドル、最安値は50.69ドルとなっています(終値ベース)。

米国高配当株2:タペストリー(TPR)

 1941年に「Coach」として設立し、2015年に「Stuart Weitzman Holdings」を、2018年に「Kate Spade & Company」を買収し、同年に「Tapestry, Inc」に社名変更を行いました。

 それぞれのブランド毎に、ECサイトを含む直営店や、アウトレット、百貨店などで幅広く自社製品の販売を行っています。

 時価総額は75億ドルで、日本円で約1兆500億円となっています(USD=140円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心ブランドは「コーチ(Coach)」で、続いて「ケイト・スペード(Kate Spade)」、「スチュアート・ワイズマン(Stuart Weitzman)」となります。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

 「コーチ(Coach)」では、ブランドを最大限に生かすため、観光客が多く、人口密度の高い都市にフラッグシップストアを配置しています。

 アウトレットストアは、アウトレット用に製造された製品や販売中止となった製品を効率的に販売するための手段として利用しており、そのノウハウを生かし「ケイト・スペード(Kate Spade)」、「スチュアート・ワイズマン(Stuart Weitzman)」も事業展開しています。

競合他社

 競合他社として、若い男性や女性向けのカジュアルなアパレル、フットウエア、アクセサリーの小売店であるバックル(BKE)、ブランドの女性用・男性用アクセサリー、靴、プレタポルテ、ウエアラブルテクノロジー、時計、ジュエリー、アイウエア、フレグランス製品の設計・販売・流通・小売を行うカプリ・ホールディングス(CPRI)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初から下落して推移していますが、配当は今年9月より増配しています。

 自社株買いや増配など積極的な株主還元を行っているものの、全体的な地合いの悪さから株価は年初から下落しています。

 しかし、業績はコロナ発生前の水準を上回って推移しており、他業種に比べて株価の下落は限定的であることから、ここ数年1~2%台で推移していた配当利回りが3%台まで上昇しているこの状況で、配当を目的として保有するのによいのではないでしょうか。

業績動向

 2022年11月10日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに、市場予想を上回りました。

 売上は前年同期を下回ったものの、一株利益は前年同期を上回っています。

 ECを通じての売上が拡大しており、年間を通しても過去最高の売上を達成しています。

 来年度も自社株買いと配当を増やしていくと会社側も発表しており、今後は業績の拡大とそれに伴う株価の回復が期待されます。

 次回は2023年2月9日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるか注目です。

注意点

 コロナ発生後、1年以上配当を停止していた時期がありました。リーマンショック後でも配当を出してはいたものの、コロナのようなパンデミックが起こった際には配当停止の可能性があることには注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:1.2ドル
配当利回り:3.84%
株価:31.22ドル(約4,400円)

 この銘柄、権利落ち日は12月上旬の予定(権利実施は12月下旬)です。

 配当利回りは11月9日時点で3.84%、株価は31.22ドルでおよそ4,400円から購入できます(1USD=140円計算)。

 2019年3月からの最高値は49.12ドル、最安値は10.58ドルとなっています(終値ベース)。