米国高配当株3:ベクター・グループ(VGR)
Eagle 20’sや、Montego、Pyramidなどのブランドで、紙巻きたばこの製造・販売事業を行う米国第4位のタバコメーカーであるVector Tobacco LLCと、既存物件のリノベーション、オフィスや賃貸物件のコンドミニアムへのコンバージョン、土地開発・販売、リゾートホテルや都市型ホテルなどに不動産投資を行うNew Valley LLCの両社を通じて事業を展開しています。
時価総額は16億ドルで、日本円で約2,200億円となっています(USD=140円換算)。
事業の注目ポイント
事業の中心は「たばこ事業(Tobacco)」で、続いて「不動産事業(Real estate)」となります。
「たばこ事業」では米国内でナンバーワンのバリュープライスブランドであるEagle 20'sや、割安価格で販売されるMontegoなどのブランドで、紙巻きたばこの製造・販売事業を行い、「不動産事業」では20 TIMES SQUAREや、QUEENS PLAZA、10 MADISON SQUARE WESTなどへの投資を行っています。
競合他社
競合他社として、米国で紙巻きたばこの製造と販売を行うPhilip Morris USA Inc.(PM USA)などを子会社に持つアルトリア・グループ(MO)、中国に本拠を置くEベイパー会社であるRLXテクノロジー(RLX)、北米における自社ブランドの食品および飲料の製造者と販売者であるツリーハウス・フーズ(THS)などがあります。
株式の注目ポイント
株価は年初の水準を下回っているものの、コロナ発生前の水準を超えて推移しており、配当は2020年以降、横ばいで推移しています。
嗜好(しこう)品であるたばこは、常に一定のニーズがあり、葉巻や従来のたばこの売上が減少する中で割安な価格のたばこはニーズが衰えることなく拡大しています。配当利回りも高水準を維持しており、配当目的に中長期保有するのにはよい銘柄ではないでしょうか。
業績動向
2022年11月1日開示の四半期決算では、1株利益は市場予想を下回りましたが、売上は市場予想を上回りました。Montegoへの事業投資によって利益率は下がったものの、売上が拡大する状況となりました。
たばこマスター決済協定(Tobacco Master Settlement Agreement)により、一定のタバコ販売シェアを超えないことで税制上の免除を受けており、そのシェアをコントロールしながら事業展開を行うことで、安定した業績で事業を継続しており、今後も堅調な業績が予想されます。
次回は2023年3月2日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるか注目です。
注意点
コロナ発生後に配当を引き下げ、まだコロナ発生前の配当水準まで戻っていません。今後も、パンデミック発生など何らかの事象により配当引き下げの可能性がある点には注意が必要です。
株価動向、配当利回り紹介
配当:0.8ドル
配当利回り:7.81%
株価:10.24ドル(約1,400円)
この銘柄、権利落ち日は12月上旬の予定(権利実施は12月下旬の予定)です。
配当利回りは11月9日時点で7.81%、株価は10.24ドルでおよそ1,400円から購入できます(1USD=140円計算)。
2019年からの最高値は35.37ドル、最安値は8.43ドルとなっています(終値ベース)。
米国高配当株4:オールド・リパブリック・インターナショナル(ORI)
タイトル保険分野で全米第三位の企業で、米国の大企業で構成されるフォーチュン500の一社でもあります。
タイトル保険は日本ではなじみが薄いのですが、米国では不動産取引において書面上の所有権者と実際の所有権者が異なる際などの不動産売買におけるリスクを減らすために用いられます。傘下のOld Republic General Insurance GroupやOld Republic Title Insurance Groupなどを通じて米国やカナダで事業を展開しています。
時価総額は68億ドルで、日本円で約9,500億円となっています(USD=140円換算)。
事業の注目ポイント
事業の中心は「タイトル保険事業(Title insurance)」で、続いて「損害保険事業(General insurance)」、「ランオフ事業(RFIG run-off)」となります。
「タイトル保険事業」では、傘下のOld Republic Title Insurance Groupを通じて、個人、法人、行政機関にタイトル保険および関連サービスを提供しています。
また、「損害保険事業」では、傘下のOld Republic General Insurance Groupを通じて米国・カナダで損害保険事業を展開しています。
競合他社
競合他社として、保険持株会社であるアメリカン・ファイナンシャル・グループ(AFG)、子会社を通じて、商業損害保険、オフショアの石油・ガス掘削装置の操業、天然ガスと液化天然ガスの輸送および貯蔵、ホテルチェーンの運営を行うロウズ(L)、特殊保険市場およびエクセス・サープラスの両市場で保険商品を提供する特殊保険会社であるアールエルアイ(RLI)などがあります。
株式の注目ポイント
株価は年初の水準を少し下回って推移していますが、配当は41年連続で増配しています。
ロシアのウクライナ侵攻以降も株価の変動はほとんどなく、S&P500などと比べても下落率は低くなっています。住宅ローン金利上昇の影響を受けタイトル保険の業績が悪化しているもののほかの事業でカバーしており、大きな業績の悪化にはつながっていません。
もともと業績の変動が少ない事業であり、配当目的に保有するのにはよい銘柄ではないでしょうか。
業績動向
2022年10月27日開示の四半期決算では、1株当たり利益は市場予想を上回りましたが、売上は市場予想を下回りました。昨年、大きく業績を伸ばしていたタイトル保険が失速した影響が市場予想を下回った要因となりました。
しかし、株価への影響はほとんどなくタイトル保険の落ち込みを損害保険で補っています。会社側は今後もリスク管理のための事業の分散化を行っていき、業績を拡大させていくとしておりマーケットが厳しい状況下でも堅調な業績が期待されます。
次回2023年1月26日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。
注意点
住宅市場の冷え込み具合次第では、タイトル保険のさらなる冷え込みが予想されます。そのため、株価が上昇するのに時間がかかる可能性がありその点は注意が必要です。
株価動向、配当利回り紹介
配当:0.92ドル
配当利回り:4.00%
株価:22.97ドル(約3,200円)
この銘柄、権利落ち日は12月上旬の予定(権利実施は12月中旬)です。
配当利回りは11月9日時点で4.00%、株価は22.97ドルでおよそ3,200円から購入できます(1USD=140円計算)。
2019年からの最高値は35.37ドル、最安値は11.70ドルとなっています(終値ベース)。