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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
逆CPIショック!ナスダック急騰、ドル急落 日本株「押し目買い」判断変わらず

逆CPIショックでナスダック急騰

 先週(11月7~11日)の日経平均株価は1週間で1,063円上昇して2万8,263円となりました。

 先週発表された10月の米インフレ率(CPI総合指数前年比上昇率)が7.7%と、9月の8.2%から0.5ポイント低下したことが好感されて、米国株が急騰した流れを受けて日経平均も急騰しました。日本株にも外国人と見られる買いが増えました。

 最近の日経平均は、米国株の乱高下に追随して上昇下落を繰り返しています。米国株は以下の表でわかるとおり、過去3週間、週ごとに急騰→急落→急騰を繰り返しています。

過去3週間の日米主要株価指数の騰落率

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

【1】10月24~28日の週、米国株が急騰した理由

 10月21日の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙に「FRB(米連邦準備制度理事会)が12月以降利上げのペースを緩めることを検討し始めている」という報道が出てから、早期に利上げが停止になる期待が出て、米国株が急反発しました。

 この週は、業績堅調なNYダウ(ダウ工業株30種平均)の上昇率が+5.7%と大きくなりました。一方、グーグル(アルファベット)、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ(フェイスブック)、マイクロソフトなど大手ハイテク株の業績が不振だったため、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数(ナスダック)の上昇率は+2.2%とNYダウよりも上昇率が低くなりました。

【2】10月31日~11月4日の週、米国株が急落した理由

 11月2日にFRBは0.75%の大幅利上げを実施すると、米国株は急落しました。利上げ自体はFRBが事前に示唆していたとおりでサプライズ(驚き)はありませんでしたが、記者会見でのパウエルFRB議長の発言が嫌気されました。

 インフレは予想以上に高止まりしていて、「利上げ停止を考えるのは非常に時期尚早」と話したことが、来年には利上げ停止が視野に入ると期待していた株式市場にとってネガティブ・サプライズとなりました。

【3】先週(11月7~11日の週)、米国株が急騰した理由

 11月10日に米労働省が公表した10月のCPI(消費者物価指数)がポジティブ・サプライズとなり、米国株が10~11日に急騰しました。

 CPI総合指数の前年比上昇率が7.7%と、9月の8.2%から低下したことが、好感されました。今後インフレ低下が加速し、来年にかけて米利上げ停止が視野に入るとの期待が出て、米国株が急騰しました。

 昨年来、米CPIが発表される都度、株式市場に「ショック安」が起こっていました。予想以上に米インフレが高止まっていることが嫌気されました。

 今回、昨年来で初めて、「逆CPIショック」となりました。CPIが予想以上に低下していることが好感されて、米国株が急騰しました。

ナスダック・日経平均の動き比較:2019年末~2022年11月11日

出所:QUICKより作成、2019年末を100として指数化