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著者の土信田 雅之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「株価急騰を招いた金融政策発表から1カ月が過ぎた中国~財政政策への期待は報われるか?~」
先月の9月24日に中国が金融緩和策と株式・不動産市場支援策を発表してから1カ月がたとうとしています。
今回の金融緩和策は、人民銀行とCSRC(中国証券監督管理委員会)、そしてNFRA(国家金融監督管理総局)の各担当者がそろって記者会見を行うという、異例の形式で公表されたことや、また、「チャイナ・ショック」時の2015年以来となる、金利と預金準備率の同時引き下げという内容などから、中国当局の「本気度」を感じ取った中国株市場は、数日間にわたってお祭り騒ぎのような急騰を演じました。
ただし、その後の株価は急落へと転じてしまい、下落が止まった後も、現在までほぼ横ばいの推移が続いています。
果たして、中国株は再び浮上できるのかが気になるところですが、現在の状況を整理しつつ、今後のポイントなどについて考えて行きたいと思います。
現在の中国株は「半値押し」でいったん様子見の状況
早速ですが、中国株市場における足元の値動きから確認していきます。
<図1>上海総合指数(日足)の動き(2024年10月24日時点)
<図2>香港ハンセン指数(日足)の動き(2024年10月24日時点)
上の図1と図2は、上海総合指数と香港ハンセン指数の日足チャートになります。
両指数ともに、金融緩和策の発表があった9月24日から上昇基調を強めていきました。10月に入るタイミングでは、中国の建国記念日に当たる国慶節の関係で、上海市場が5営業日、香港市場が1営業日の休場となりましたが、上海市場が休場となっている期間の香港ハンセン指数は引き続き上値を伸ばし、10月7日の取引時間中に2万3,241pの高値をつけました。
その後、10月8日に取引を再開した上海総合指数は、始値である3,674pが株価のピークとなり、この日を境に、両指数がそろって下落基調へと転じていきました。
上の図では、株価の上昇が始まった9月24日から、それぞれの株価指数が高値をつけた時点の上昇幅に対する「フィボナッチ・リトレースメント」を描いていますが、ともに株価が下げ止まった水準は「50%押し」のところであることが分かります。
香港ハンセン指数については61.8%押しまで下落する場面があるものの、基本的には、両指数ともに株価の上げ下げを繰り返しながらもみ合う展開が現在まで続いている格好です。
このように、中国株の日足チャートからは、様子見ムードも感じられるわけですが、ここで押さえておきたいポイントは、「株価が下落に転じた理由」と、「株価がもみ合っている現状」について読み解くことになります。