中国の財政政策は思ったよりも早く打ち出される可能性も

 では、「どのタイミングで財政政策が出てきそうなのか?」については、いくつかの手掛かりが考えられます。

 例えば、特別国債が発行されるタイミングです。10月14日から15日にかけて、ロイターやブルームバーグなどが、今後3年間で6兆元(約127兆円)の特別国債を発行する予定であると報じられています。

 なお、中国で特別国債を発行するには、全人代(全国人民代表大会)の常務委員会の承認が必要になります。常務委員会の会議は2カ月に1回開催されるのが慣例となっており、通常通りであれば、近いうち(早ければ10月中)に開催されるため、中国の財政政策をめぐって、思ったよりも早く株式市場が動意づく可能性があります。

中長期的な中国株の見通しは依然として不透明

 仮に、中国で財政政策が打ち出された場合、中国株は素直に上昇して行くと思われ、短期的には値上がり益を狙う戦略が有効になると思われますが、この上昇が中長期的なトレンドに発展して行けるかについては依然として不透明な状況が続きそうなため、無理な深追いは避けた方が良いかもしれません。

 まず、市場の視点が、「財政政策の規模が中国の抱える問題を解決へと導けるか?」へと移っていくことや、米大統領選挙後の米中関係(米国による関税強化など)への懸念、経済減速のスピードが速く、政策の効果が表れるまでに景気が持ちこたえられないことなどが考えられます。

 そのため、中長期的な相場の方向感については、中国の一大商戦である11月11日の「独身の日」の売り上げ動向や、12月に開催され、来年の経済政策の方針を決める「中央経済工作会議」の内容といったチェックポイントを確認しながら探っていくことになりそうです。