(1)現状のリターン、リスク、コストの把握
現状の相談者のポートフォリオの、期待リターン、リスク、コストをそれぞれ把握して、大まかな問題点・改善点を指摘することから始めるのがいいだろう。
この場合、はじめの把握は、期待リターンの場合、今なら内・外株式の期待リターンが5%(年率)、内・外の債券の場合0%というくらいの大まかな把握から話し始めるといい。期待リターンとリスク(特に想定される最大損失額)について、大まかに把握して説明しよう。
次に、それぞれの資産に対して同じ前提条件を使いつつ、運用商品の手数料や税金を考慮した「手取りベースでの期待リターン」を伝えよう。はじめに聞いた期待リターンとの差から手数料がどれほど重荷になっているかを理解して貰うことが有益だ。
加えて、相談者が取引金融機関別に、過去1年に幾ら手数料を払っていたかを集計してみるといい。この段階で、少なからぬ相談者に対して、自分自身が金融機関の上客(俗語では「カモ」などと呼ばれる)になっていたことに気づかせることができるだろう。「同様の内容の運用商品でもっと手数料の安いものがある」ということを伝えて、相談者が現在までどれだけ無駄な手数料を支払っていたかを指摘するといいだろう。
金融機関のセールスマンに取り込まれて半ば言いなりになるなどの不適切な事例は、相談者が支払っている手数料の行き先を見ると、早くキャッチできることが多いだろう。
読者には、「金融機関別支払い手数料集計」を、自分自身に加えて、自分の親御さんのポートフォリオについて行ってみることを強く勧めたい。「これは、まずい!」と気づくケースが少なくないはずだ。