自社株買いのメリット、おおまかな計算

 自社株買いを発表する企業が増えています。発表された自社株買いが、株主にどのくらいのメリットがあるか、おおよその見当をつける方法を、お教えします。

 発表された自社株買いが、全て実行されるとした場合、発行済株式数が何%減るのか、見ると良いです。

 具体例を見てみましょう。以下は、2022年11月1日に発表された、三井物産(8031)の自社株買いの概要です。

  1. 取得する株式の種類:自社の普通株式
  2. 取得する株式の総数:6,000万株(上限)(発行済株式総数に対する割合3.8%)
  3. 株式の取得価額の総額:1,400億円(上限)
  4. 取得期間:2022年11月2日から2023年2月28日

 ここで一番注目していただきたいのは、赤字にしたところ、「発行済株式総数に対する割合」です。3.8%です。上限株数を買い付けると、発行済株式総数が、3.8%減少します。ということは、1株当たり利益が、おおむね3.8%増えるわけです。

 PERなどの株価評価が変わらなければ、自社株買いで、1株当たり利益が3.8%増加し、株価が3.8%程度上がると期待できます。厳密に計算すると、もう少し異なる結果となりますが、ざっくりしたメリットの把握としては、上記でオーケーです。

 ただし、自社株取得枠で表示される金額は、あくまでも上限であって、それを本当に全て買うかわかりません。

コロナショック緩和、自社株買いがまた増加へ

 2020年はコロナ禍で不測の事態に備えるために、バランスシートで保有するキャッシュを増やす企業がたくさんありました。そのため、自社株買いを控える動きが広がりました。

 ただし、2021年2022年にかけて、コロナ禍が徐々に収束するにつれて、企業活動は徐々に正常化し、自社株買いを復活させる企業が増えてきました。

 今年以降、自社株買いが株価を動かす要因として注目される流れに戻ると予想されます。

▼著者おすすめのバックナンバー

2022年10月19日:利回り4.6%:NISA口座で買える手づくり「高配当利回り株ファンド」
2022年8月31日:エネルギー安全保障に貢献する高配当利回り株3選:利回り3.2~4.1%
2022年8月24日:三菱UFJFG、三井住友FGの「買い」判断継続:利回り4.4%、5.3%