コンセンサス・レーティングは重要、大型株から配当利回り(予想)3.8%以上の銘柄を選ぶ

 上記は、三つのスクリーニング条件から選んだ7銘柄です。私が、三つの条件を選んだ理由を以下に記載します。

【1】コンセンサス・レーティング3.8以上

 これは、とても重要です。それぞれの銘柄について、多数のアナリストが「買い」「売り」「中立」などの推奨レーティングをつけています。その推奨の平均値をとったものが、コンセンサス・レーティングです。

 まず、どのようにレーティングを計算するか説明します。一つの例で説明します。アナリストの推奨レーティングは通常、以下のように分布しています。

 上記の銘柄では、さまざまな証券会社に所属する13人のアナリストがレーティングをつけています。7人が「強気(または買い)」、2人が「やや強気」、3人が「中立」、1人が「弱気(または売り)」と判断しています。

 コンセンサス・レーティングを計算する際、まずアナリストの推奨をスコア(数値)に換算します。強気は5、やや強気は4、中立は3、やや弱気は2、弱気は1として、平均値を計算します。上記銘柄について計算すると、以下の通り、約4.1となります。

(5点×7人)+(4点×2人)+(3点×3人)+(1点×1人)=53点 53点÷13人=平均4.08

 証券会社のアナリストは、通常、IR担当者や経営陣を取材してディスカッションした上で、レーティングを決めています。アナリストが現在、この銘柄をどう見ているか知ることは大切です。

 ただし、1人のアナリストの意見だけ見ても十分とはいえません。そのアナリストの意見が片寄ったものかもしれないからです。多数のアナリストの意見を一覧して、その銘柄がどう見られているのか参考にすることが大切です。

 コンセンサス・レーティングが3(中立)以下の銘柄には、株価に織り込まれていない悪材料がある場合もあります。私は、今回のスクリーニングではレーティング3.8以上を選別条件としました。

【2】予想配当利回り3.8%以上

 予想配当利回りが高いということは、株価が割安である可能性が高いことを意味します。直近株価の上昇率が高い銘柄が多く含まれていますが、それでも株価指標で見てなお割安な銘柄が多いと言えます。

【3】時価総額1.5兆円以上

 配当利回り(予想)は高ければ高いほど、良いというわけではありません。なぜならば、株の配当利回りは、確定利回りではないからです。業績が悪化して、減配(1株当たり配当金を減らすこと)になり、株価が下がることもあります。高配当利回り株を選別する時は、なるべく減配リスクの低い銘柄を選ぶべきです。

 減配リスクの低い銘柄に絞りこむ方法は、いろいろあります。減配リスクが低い銘柄には、一般的に以下の特色があります。

(1)時価総額が大きい
(2)経常利益率が高い
(3)自己資本比率が高い(借金が少ない)
(4)景気の影響を受けにくい業種(ディフェンシブ株)
(5)経営者が株主への利益配分に積極的

 全てを満たす銘柄はありません。上記の一つか二つを満たせば十分と考えます。今日は、一番単純でわかりやすく、かつ重要な条件一つだけに絞りました。「時価総額が大きい」(時価総額1.5兆円以上)という条件です。

 時価総額が大きい銘柄には、相対的に財務が良好で収益基盤が安定的な銘柄が多いので、「時価総額が大きい」という条件を加えるだけで、減配リスクが低い銘柄である可能性が高まります。

▼著者おすすめのバックナンバー

2022年10月31日:パウエル議長のタカ派トーン緩む期待で上がる米国株。FOMCで波乱も
2022年10月19日:利回り4.6%:NISA口座で買える手づくり「高配当利回り株ファンド」
2022年8月24日:三菱UFJFG、三井住友FGの「買い」判断継続:利回り4.4%、5.3%