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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
パウエル議長のタカ派トーン変わる?期待で上がる米国株、FOMCで波乱も

米利上げピッチ緩む期待で米国株の反発続く

 先週(10月24~28日)の日経平均株価は、1週間で214円上昇して2万7,105円となりました。FRB(米連邦準備制度理事会)による急激な利上げが12月以降緩む期待から、米国株が反発し、それにつれて日経平均も少しずつ戻りを試しているところです。

先週の日米主要株価指数の騰落率

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 上の表をご覧いただくと分かる通り、先週はNYダウ(ダウ工業株30種平均)の上昇率が5.7%と高い割に、ナスダック総合指数の上昇率は2.2%と相対的に低くなっています。

 ナスダック上場の米大手ハイテク決算が市場予想を下回ったことが響いています。アマゾン・グーグル・マイクロソフト・メタなど主要ハイテク株決算がさえなかったことから、ナスダックの上昇率は低くなっています。一方、ハイテク株の比率が低く、業績好調な景気敏感株の比率が高いNYダウは、大幅に上昇しました。

 10月21日に米ウォール・ストリート・ジャーナル紙による「12月以降利上げのペースを緩めることをFRBが検討し始めている」という報道が出て以降、年内で利上げが停止になる期待が出て、米国株の上昇が続いています。それに、足元で続いている7-9月決算の影響も出ているところです。

ナスダック・日経平均の動き比較:2019年末~2022年10月21日

出所:QUICKより作成、2019年末を100として指数化

 米国株は、米景気ハードランディング不安と米景気ソフトランディング期待【注】のせめぎ合いで乱高下しており、その影響を受けながら、日経平均も動いています。

【注】米景気ハードランディング・ソフトランディング
◆ハードランディング・シナリオ:米景気減速が鮮明になっても高水準のインフレが続く。FRBは景気犠牲をかえりみずにインフレ抑制を目指して引き締めを続ける。インフレと金利上昇を受けて、米景気がリセッション入りする。世界的な景気後退期に入る。
◆ソフトランディング・シナリオ:米景気が堅調なうちに、インフレが沈静化に向かい、米利上げ停止が視野に入る。米景気はリセッション(景気後退)入りすることなく持ち直す。

 米景気は製造業中心に減速が鮮明になりつつあるものの、まだサービス産業中心にしぶとく堅調です。米景気がしぶとく堅調なうちにインフレが沈静化し、利上げが停止されるかどうかに、株式市場の注目は集まっています。