先週の米国市場、NYダウ終値は3万2,920ドル

 続いて、米国株市場の値動きについても確認していきます。先週の米国では11月のCPI(消費者物価指数)やFOMC(米連邦公開市場委員会)という注目イベントの動向が注目されていました。

(図3)米NYダウ(日足)とMACDの動き (2022年12月16日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週末16日(金)のNYダウ(ダウ工業株30種平均)終値は3万2,920ドルでした。前週末終値(3万3,476ドル)からは556ドル安でしたが、週間の値幅(高値と安値の差)は2,000ドルを超えており、値動きがかなり大きくなりました。

 当然ながら、こうした荒い値動きの背景には、米国の注目イベントが影響しています。週前半のNYダウは米11月CPIが発表された13日(火)の取引時間中に3万4,712ドルまで上昇し、12月1日の直近高値を更新する場面がありました。

 その米11月CPIですが、前年比でプラス7.1%という結果でした。物価上昇の水準自体は依然として高いものの、市場予想(プラス7.3%)を下回り、上昇率の鈍化傾向が5カ月続いたことで、インフレ懸念の峠は越えたという見方が強まり、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ長期化への警戒が和らいだ格好です。

 ただし、この日のローソク足を見ると、上ヒゲの長いものとなっており、高値をつけてからの上昇幅がかなり縮小する展開となりました。そして、翌14日(水)以降のNYダウは下げ基調を強める展開へと転じていきました。

 テクニカル分析的には、50日と200日の移動平均線による「ゴールデン・クロス」が出現し、移動平均線の並びが株価の高い順から、25日・50日・200日と並ぶ「パーフェクト・オーダー」と呼ばれる形状となって、中長期的な株高期待のサインも見られるのですが、下段のMACDが下向きを強め、「0ドル」ライン割れも見えていることもあり、短期的な株価はもう一段階下落しそうな雰囲気を醸(かも)し出しています。

 目先は50日および200日移動平均線水準で株価が下げ止まれるかがポイントになります。

 こうした週末の株価下落局面においては、FOMCの動向が絡んでいます。

 FOMCでは利上げ幅が0.5%に決定されるなど、結果自体は想定通りだったのですが、その後のパウエル議長をはじめとするFRBのタカ派的な姿勢を改めて警戒する動きとなったことや、先週発表された米11月小売売上高が予想以上に減少したことも重なり、景況感への警戒が高まったことが株価の下げ足を早めたと考えられます。

 ここで重要なのは、FRBからのメッセージ自体に変化はないにもかかわらず、市場の受け止め方が変化して株価が下落した可能性がある点です。目先の株式市場は、「景況感の悪化に敏感に反応しやすくなっている」という前提で相場に臨む必要があります。

 今週はクリスマス休暇絡みで売買が少なくなることが見込まれることをはじめ、景気動向を映す鏡とされる米物流大手のフェデックスや、半導体関連株のマイクロン・テクノロジーの決算が発表される予定となっていることもあり、警戒感がくすぶる状況下で株価の下げ止まりと反発が試される週になりそうです。