米国株、株高基調がひとまず一服?

(図4)米NYダウ(日足)とRSIの「逆行現象」 (2022年11月11日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図4も前回のレポートでも紹介したNYダウ(ダウ工業株30種平均)の日足チャートとRSIの推移で「逆行現象」を捉えたものになります。

 引き続き、中長期的には下向きの「トレンド継続型」の逆行現象が機能している中、先週のNYダウの値動きによって、短期的な「トレンド転換型」の逆行現象が出現しました。株価が高値を更新する一方でRSIが下向きとなっており、株高基調がひとまず一服してもおかしくない状況となっています。

 もちろん、「株価は不安の崖を駆け上がる」という相場格言が示すように、多少の不安要素があるぐらいの方がちょうど良いのかもしれませんし、この時期の株式市場は上昇しやすい傾向があるというアノマリー(経験則)もあります。

 また、相場とは直接的な関係はありませんが、今週末20日(日)から始まるサッカーW杯(カタール)開催によるお祭りムードも、多少の影響はあるかもしれません。

 反対に、足元で再拡大傾向にある新型コロナウイルスの感染状況や、仮想通貨取引所であるFTXの破産申請の影響など、気掛かりなニュースも報じられており、動向次第では下げの材料に変化することも考えられます。

 その他、今週の予定を確認すると、国内では7-9月期GDP(国内総生産)速報値や、10月訪日外国人客数といった統計データのほか、14日(月)に企業決算発表のクライマックスを迎えます。

 一方の米国では、ウォルマートなど小売関連企業をはじめ、半導体関連のエヌビディアといった企業決算が予定されています。また、小売売上高や鉱工業生産、中古住宅販売といった10月分の経済指標が発表されます。

 注目イベントを通過して迎える今週は、再び国内外の経済指標や企業業績へと市場の視点が向かいやすくなるため、今週は先週の上昇が一服し、株価の水準感を探りながら推移する展開が基本のシナリオになりそうです。