日本株、今週の見通し

 一方の日本株については、国内企業の決算発表がピークを迎える中、これまで通り、株価の方向感というよりは、水準感を探る動きが続きそうです。

図3 日経平均(日足)の動き (2022年11月4日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図3を見てもわかるとおり、ここ数週間の日経平均は、「週の半ばに上値トライを見せるも、週末にかけては売りが優勢」という展開を続けています。

 また、週末にかけての失速の場面を見ると、いずれも「窓」開けを伴っているため、米国株市場のムードの変化の影響を受けていることがうかがえるものの、ジグザグの値動きを繰り返しながら、上値については、200日や75日移動平均線、直近高値(8月と9月)を結んだラインまで上昇し、下値については、25日移動平均線や2万7,000円の節目、200日移動平均線などをサポートにしつつ、株価水準を切り上げており、堅調さを維持している印象です。

 次に、具体的な株価の水準感についても確認していきます。

図4 日経平均(日足)の水準感と方向感(2022年11月4日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図4は、ここ最近のレポートで毎回紹介している、ギャン・アングル(ピンク色の線)とフィボナッチ・リトレースメント(水色の線)になります。ギャン・アングルで方向感、フィボナッチ・リトレースメントで水準感を探ります。基準となるのは昨年9月の高値と今年3月の安値になります。

 ここ2~3週の日経平均は、ギャン・アングルの「4×1」ラインを挟んだ値動きの中、フィボナッチ・リトレースメントの「38.2%戻し」と「50%戻し」のレンジ内での推移が続いており、あまり状況が変わっていません。引き続き、戻しの水準ラインごとに色分けをしたフィボナッチ・リトレースメントの水準感で動くことが想定されます。

 コアのレンジで2万7,000円から2万7,750円、サブのレンジで2万6,120円から2万8,500円あたりが目安となりますが、今週末11日(金)はオプション取引とmini先物のSQ日となるため、値動きの幅が大きくなる可能性があります。

 その他、今週注目されそうなポイントとして中国があります。

 先週の中国株の関連指標(上海総合指数や、香港ハンセン指数、NASDAQゴールデン・ドラゴン・チャイナ指数)は、大きく上昇する場面が目立ちましたが、10月22日に閉幕した中国共産党大会以降に急落していた反動とともに、中国の新型コロナウイルスに対する規制が緩和されるとの観測が高まったことがその理由として挙げられています。

 さらに、週末の11日(金)には一大商戦である「独身の日(光棍節・W11)」を迎えます。

 もっとも、中国のコロナ規制については、いわゆる「ゼロコロナ政策」が経済の重しとされ、警戒されていただけに、緩和観測は前向きな好材料といえますが、4日(金)時点では、まだ中国当局から具体的な内容の発表はなく、そもそも、先ほども紹介した共産党大会では、ゼロコロナ政策の成果を大きくアピールしていたばかりのため、まだ楽観できないといえます。

 さらに、中国経済の復調を見越してか、原油価格の代表的な指数であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)の価格が4日(金)時点で90ドルを超えてくるといった動きも出始めています。このまま資源価格が上昇傾向となれば、インフレへの警戒が高まるという副作用も考えられます。

 したがって、今週は注目材料が多く、これらを株式市場がどのように消化していくのかが焦点になりそうです。