日米2年金利差が、ドル/円の動きをもっとも良く説明

 私は、日米2年金利の差が、ドル/円の動きをもっとも良く表していると考えています。2年金利差というのは、米国と日本の2年国債利回りの差です。日本の金利は近年ほぼゼロ近辺で固定されていますので、米国の2年金利の動きだけ見れば、日米金利差の変化がわかります。

日米2年金利と2年金利差の月次推移:2008年1月~2022年10月(24日)

出所:QUICKより作成

ドル/円為替レートと日米2年金利差の月次推移:2008年1月~2022年10月(24日)

出所:QUICKより作成

 2008年以降の動きを見ると、おおむね日米2年金利差の変化に、ドル/円は連動していることがわかります。ただし、よく見ると、金利差の拡大縮小と、ドル/円の動きがあっていないところもあります。金利差の実際の動きで説明できないところは、ほとんど、金利差の先行きに対する思惑の変化で説明できます。

【1】2008~2012年

 日米金利差の縮小にしたがって、円高(ドル安)が進みました。

【2】2013~2014年

 日米金利差が少ししか拡大していないのに、大幅な円安(ドル高)が進みました。2年金利の差では説明できない程の円安となりました。日銀が異次元緩和を実施する中、FRBが金融引き締めに動いていたことが、急な円安を招きました。今と似た環境です。今も、FRBが引き締めを急いでいる時に、日銀は頑として緩和維持を表明しています。

【3】2015~2018年

 日米金利差が拡大する中で、円高が進みました。2013~2014年の行き過ぎた円安に修正が起こったと見ることができます。2016年に、米大統領選キャンペーンで共和党候補だったドナルド・トランプ氏(前大統領)と民主党候補だったヒラリー・クリントン氏が、ともに円安を批判したことも円高材料となりました。トランプ前大統領が当選した後も、日本の対米黒字を問題視し続けたため、潜在的な円高圧力が続きました。

【4】2019~2020年

 日米金利差が縮小するにしたがって、円高が進みました。

【5】2021~2022年

 日米金利差拡大にしたがって、円安が進んでいます。