介入で円安を止められないので、口先での介入を強めている?
円買い介入で円高に動く時間はだんだん短くなってきています。円買い介入のタイミングをねらって、ドルを買う(円を売る)投機筋が増えているからです。介入で円安を止められないことを投機筋に見透かされている感もあります。また、円安に苦しむ、国内の輸入業者も円買い介入でドルが安くなるタイミングで、ドルを買ってくる傾向があります。
こうした動きを受けて、政府・日銀は、口先介入も強めていると思われます。為替介入について、政府筋は「24時間365日、適切な対応をとる」「介入資金は無限にある」「市場を通じて投機筋と厳しく対峙(たいじ)する」などと円安をけん制する発言をしています。
介入は「北風」、日米金利差の縮小が「太陽」に
介入効果もなく、いつまでも際限なく円安が進むのでしょうか? そんなことはあり得ないと思います。いずれ、行き過ぎた円安に歯止めがかかるタイミングが来ると思っています。なぜならば、今の円安を引き起こしている主因が「日米金利差の拡大」だからです。
金利差が拡大し続ける限り、ドル高(円安)が続きますが、金利差の拡大が止まる、あるいは金利差が縮小する局面になれば、逆にドル安(円高)が急伸する可能性もあると考えています。
介入で円安は止められませんが、ファンダメンタルズ(日米金利差)が変われば、円安は止まります。イソップ童話「北風と太陽」のたとえで言うと、介入は「北風」、金利差の変化(縮小)が「太陽」の役割を果たすと思います。
ドル/円の動きを決める「日米金利差」
改めて問います。何が、ドル/円為替を動かしているのでしょう。為替を動かす要因は無数にあって説明が難しいのですが、もっとも重要な要因二つだけに絞れば、極めてシンプルです。以下二つの要因で動いています。
【1】日米金利差、現在の値
【2】日米金利差、先行きの思惑
日米金利差の、現在の値・先行きの思惑が、どのように為替を動かしているか説明すると以下の通りです。
【1】日米金利差、現在の値
金利差が拡大するとドル高(円安)が進む。金利差が縮小するとドル安(円高)が進む。
【2】日米金利差、先行きの思惑
先行き、さらに金利差が拡大する思惑が広がるとドル高(円安)が進み、先行き金利差が縮小する思惑が広がるとドル安(円高)が進みます。
先行きの思惑に影響するもっとも重要な要因は、日米金融当局の政策スタンスの差です。つまり、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言と、黒田東彦日銀総裁の発言が影響します。現時点で、パウエルFRB議長の超タカ派発言と、黒田総裁の超ハト派発言が際だっていて、ドル買い(円売り)を進める投機筋を勢いづかせています。