エネ価格・関連ETFは長期で高止まりか!?

 ここまで、さまざまなエネルギー関連の基礎知識を確認してきました。本稿の最後に実際の価格動向を確認します。参照する価格は先述の「各種主要化石燃料価格の決定拠点」の価格です。

 基礎知識の一つとして「数量の単位」について述べると、原油の「1バレル」は約159リットルです。(語源はその名の通り「樽(たる)」。昔、石油を樽に入れて持ち運びしていたことから。約159リットルは一人用の浴槽の7~8割くらい)。WTI原油は足元、1バレルあたり85ドル近辺で推移しています。

 天然ガスの「1mmbtu(エムエムビーティーユー British thermal unit 英国熱量単位)」は、約27立方メートル(1辺が3メートルの立方体)です。ヘンリーハブは足元、1mmbtuあたり5.4ドル近辺で推移しています。

図:各種主要エネルギー価格の推移(2016年1月から2022年9月)

出所:IMFのデータをもとに筆者作成

 原油と天然ガスの生産量の箇所で「米国」が生産量No.1であると述べました。米国は、生産量こそNo.1ですが、対外的な供給力という意味がある「輸出量」でみると、原油:1位中東(サウジ除く)21.0%、2位ロシア12.3%、3位米国11.8%、天然ガス:1位ロシア23.6%、2位米国17.5%、3位中東14.0%です(2021年時点 BPの統計より)。

 前回の[基礎編]で述べたとおり、エネルギー市場に「ウクライナ危機」が強く影響していることを考えれば、「買わない西側・出さないロシア」によって起きているロシアの輸出量の減少は、今後も続くことが予想されます。

 その急減分を、米国が中心となってカバーできなければ、「世界全体としての」需給ひっ迫は続き、引いては本レポートで述べた各種エネルギー価格の高止まりが続く可能性があると筆者は考えています。

 次回の[詳細編]は以下を述べます。

●シェール革命後の米国の原油・天然ガス生産
●拡大する米国の欧州向けエネルギー輸出
●注目が集まる米国のエネルギー関連中流企業
●「二つの脱」はウラン需要増加・価格上昇要因
●エネ価格・関連ETFは長期で高止まりか!?

[参考]エネルギー関連の具体的な投資商品例

国内株式

INPEX
出光興産

国内ETF・ETN

NNドバイ原油先物ブル
NF原油インデックス連動型上場
WTI原油価格連動型上場投信
NNドバイ原油先物ベア

外国株式

エクソンモービル
シェブロン
オキシデンタル・ペトロリアム

海外ETF

iシェアーズ グローバル・エネルギー ETF
エネルギー・セレクト・セクター SPDR ファンド
グローバルX MLP ETF
グローバルX ウラニウム ETF
ヴァンエック・ウラン原子力エネルギーETF

投資信託

UBS原油先物ファンド
米国エネルギー・ハイインカム・ファンド
シェール関連株オープン

海外先物

WTI原油(ミニあり)

CFD

WTI原油
ブレント原油
天然ガス