習近平が党の最高指導者に選ばれる仕組み

 人事という意味での注目点が(5)です。この期間、「党大会人事」と題し、習総書記が3期目入りするかどうか、中央政治局常務委員の人数や誰が入り、誰が残るか、国務院総理は誰になるか、ポスト習近平は内定するか、といったポイントを検証してきましたが、これらの議論には制度的に前提があるのです。

「中国共産党中央委員会工作条例」によれば、約200人から成る中央委員会の委員、および往々にして200名には満たない補欠委員は(任期5年)、2,000人強から成る全国代表大会の代表によって、党大会の場で選出され(第三章第九条)、中央政治局、常務委員会、中央委員会総書記は中央委員会全体会議を通じて選出されるからです。と同時に、総書記は中央政治局常務委員の中から選ばれなければならない点も明記されています(第三章第十条)。

 要するに、党大会における議題の一つであり、中央委員会を選出する(5)がなければ、「習近平第三次政権」を巡る中央政治局常務委員・委員人事につながらないということであり、上に行くためには、まずは中央委員会委員に選出される必要があるということです。

 新たな中央委員が選出された後、党大会は閉幕します(10月22日の見込み)。その翌日、第20期中国共産党中央委員会第一次全体会議(一中全会)が開催され、その場で、新中央委員の中から中央政治局委員、そして常務委員が選出されるという仕組みです。繰り返しになりますが、習氏が2期10年務めてきた総書記というのは、中央委員会という組織の最高位であり、中央政治局における序列1位という地位に登り詰めることになります。

 一応断っておきますが、上記で繰り返し用いた「選出」に関して、西側諸国や日本で普遍的に採用されている「自由で公正な選挙」ではなく、権力闘争や人間関係、最高指導者や長老たちの思惑や利害が複雑かつ赤裸々に絡み合う中で、ブラックボックス内の操作を通じて結果的に選ばれる、という意味です。選抜、という表現が最も現実を表しているといえるかもしれません。日本の大手企業で、役員や社長が「選出」されるイメージです。