3 コニカミノルタ(4902・東証プライム)

 オフィス⽤A3カラーMFP(複合機)で高シェア、東欧州ではトップ、インドでも第2位の位置づけです。こうした事務機器が売上の過半を占めるほか、商業印刷市場向けのカラーデジタル印刷機でもグローバルでトップクラスのシェアを保有しています。

 医療用画像診断システム、計測器や液晶用偏光板保護フィルムなどの精密機器も手掛けています。光源色計測器、液晶テレビ用フィルムなどでもトップ級の販売シェアとなっています。1円の円安ユーロ高による為替感応度は4億円ほどとみられます。

 2023年3月期第1四半期営業損益は110億円の赤字で、前年同期比141億円の損益悪化となっています。上海ロックダウンの影響が大きく響いたほか、半導体など部材需給の逼迫(ひっぱく)、物流輸送期間の長期化などのマイナス影響も受けました。

 ただ、6月以降は売り上げも回復しており、通期では150億円の黒字計画、前期比423億円の損益改善が見込まれています。構造改革効果なども下期にかけて顕在化してくるとみられます。年間配当金は前期比10円減配の20円となっています。

 リモートワークの普及や働き方改革によるオフィス市場の縮小、ペーパーレス化による印刷機の需要縮小など、構造的な懸念材料はありますが、PBRは0.5倍を大きく割り込むなど株価の割安感は非常に強い状況です。

 足元で収益が急回復していることに加えて、2023年はオフィスビルが大量に竣工することで、少なくともオフィス機器の需要にとってはプラスに働くと考えられます。短期的な業績急回復を評価する余地は残ると考えられます。また、規制緩和進展による遠隔医療の普及などは、医療用画像診断システムへの支援材料になるでしょう。

4 日本精工(6471・東証プライム)

 ベアリングの国内最大手企業で、世界でも第3位の位置づけとなっています。自動車用や産業機械用のベアリングが主力製品で、そのほか、電動パワステやトランスミッションなどの自動車部品、ボールねじやリニアガイドなどの精機製品も手掛けています。

 世界200地域に拠点を有しています。中期計画では、2027年3月期に売上高1兆円以上、営業利益1,000億円を目標としており、特にステアリング事業の収益回復に向けた施策に取り組んでいく方針です。

 2023年3月期第1四半期営業利益は45.4億円で前年同期比49.6%減益となっています。サプライチェーン問題や中国ゼロコロナ政策の影響が自動車向け事業で大きく受けたほか、鋼材、海上運賃、電力料金などのインフレ進行も響きました。

 一方、通期では400億円、前期比35.9%増となる見通しです。産業機械事業の売上拡大が見込まれるほか、自動車事業の底打ちも想定しています。ちなみに、第1四半期業績はほぼ計画通りであったもようです。年間配当金は前期比5円増の30円を計画しています。

 他のベアリング大手2社の配当利回りは1.7%、2.1%であり、相対的に見て配当利回りは極めて高水準と指摘できます。加えて、年度後半以降の自動車生産本格回復、足元での急激な円安進行から、自動車関連業界の先行きが期待できる中、自動車部品業界の一角と位置付けられる同社なども、徐々に水準訂正の動きが強まるものと考えられます。

 中期計画期間中は総還元性向50%程度を目指すとしているので、今後も高水準の配当実施や積極的な自社株買いなどが期待できそうです。

5 三菱HCキャピタル(8593・東証プライム)

 三菱UFJグループでリース業界の最大手企業、営業資産残高は9兆円強の水準になっています。2021年4月に三菱UFJリースと日立キャピタルが統合して発足しました。リース、割賦・貸付などのカスタマーソリューション事業が主力で、航空事業、不動産事業、ロジスティック事業、環境・エネルギー・インフラ事業など幅広く展開しています。

 2026年3月期までの中期計画では、ROE(自己資本利益率)10%程度の計数目標、配当性向40%程度などのイメージが示されています。

 2023年3月期第1四半期営業利益は405億円で前年同期比95.2%増と大幅増益になっています。欧米子会社を中心とした海外事業の伸長や貸倒関連費用の減少、不動産リースに係る大口売却益の計上などが押し上げ要因となりました。

 一方、前年同期に計上した政策保有株式の売却益が一巡したことで、純利益は微減益となっています。通期計画は純利益のみ公表しており、1,100億円、前期比10.7%増の見通しです。年間配当金は前期比3円増配となる31円を計画しています。

 世界的な経済活動の正常化に伴い、今後は航空機リース事業などの回復がけん引役となってきそうです。

 また、再生可能エネルギーの普及拡大により、環境エネルギー事業も着実な成長が期待できます。業績は当面安定した拡大が続く可能性が高く、高い配当性向目標から、それに伴う配当成長も期待できます。三菱UFJグループの金融関連企業でもあり、長期投資に向けての買い安心感が強い銘柄と捉えられるでしょう。