米国高配当株1:NRGエナジー(NRG)

 NRGは米国24州、カナダ8州で電気や天然ガスの生産・販売をしています。

 家庭用、商業用、産業用、卸売用を含む約600万世帯の顧客を有し、昨年もDirect Energyを買収するなど積極的に事業を拡大させています。

 100%再生可能エネルギーの電力を提供する「Green Mountain Energy」や、買収した「Direct Energy」、「Reliant Energy」などさまざまなブランドでサービス提供をしています。

 時価総額は104億ドルで、日本円で約1兆5,000億円となっています(USD=143円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は「テキサス事業(Texas)」で、続いて「イースト事業(East)」、「ウェスト・サービス・その他事業(West/Services/Other)」となります。

 それぞれの事業で家庭用、商業用、産業用および卸売用の電力と天然ガスの販売を事業展開していますが、「テキサス事業」では家庭用電力の比率が高く、「イースト事業」では商業用、産業用電力の比率が高いなど地域によって異なる売上構成となっています。

競合他社

 競合他社として、エネルギーとエネルギーサービスのプロバイダーであり、米国中南部で電力・天然ガスに関する物理的な配送および関連サービスを提供するOGEエナジー(OGE)、米国全体の市場で小売および発電の統合ビジネスを運営するビストラ・コープ(VST)、グローバルな電力会社であるAES(AES)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は上下があるものの一定の範囲内で推移していますが、配当は今年に入ってから増配をしています。

 テキサスの気温が平年を上回ったことで電力需要が増加し、インフレによるコスト増の懸念がありました。しかし、同社のヘッジプログラムによって業績悪化を回避したことや、自社株買いを行っていることで株価は安定的に推移しています。

 大寒波やコロナの影響などによって株価の変動はあるものの、営んでいる事業から他業種に比べて株価の変動は少なく推移しており、今後も配当を目的として保有するには良い銘柄の一つではないでしょうか。

業績動向

 2022年8月4日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。

 また、1株利益は前年同期比の水準を下回り、売上は前年同期比の水準を上回る結果でした。

「テキサス事業」、「イースト事業」において顧客数が増加していることや、インフレによる記録的な価格変動・負荷変動にも事業中断保険および損害保険などさまざまな対策を講じることでリスクを軽減させ業績を安定させています。

 今後は、住宅向けの省電力サービスAirtronの拡大が予想されており、引き続き好調な業績が続くことが期待されます。

 次回2022年11月10日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。

注意点

 昨年はテキサスで記録的寒波が発生し、大規模停電が起きました。

 そして、全米の石油生産の4割を占めるテキサスがそのような状況に陥ったことで、発電コストが上昇し大きく利益が減ったことがありました。

 そういった天候要因で業績に影響が出る可能性には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:1.4ドル
配当利回り:3.15%
株価:44.36ドル(約6,300円)

 この銘柄、権利落ち日は10月下旬予定(権利実施は11月中旬予定)です。

 配当利回りは9月13日時点で3.15%、株価は44.36ドルでおよそ6,300円から購入できます(1USD=143円計算)。

 2019年からの最高値は46.85ドル、最安値は21.99ドルとなっています(終値ベース)。

米国高配当株2:ペンビナ・パイプライン(PBA)

 北米で65年以上にわたってエネルギー輸送やエネルギー中流サービスを展開する企業です。

 液体炭化水素と天然ガスパイプラインの統合ネットワークを所有し、石油・LNGと物流サービス、輸出ターミナル事業を展開しています。

 時価総額は203億ドルで、日本円で約2兆9,000億円となっています(USD=143円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は「マーケティング&新規開発事業(Marketing&New Ventures)」となっており、続いて「パイプライン事業(Pipelines)」、「保守・管理事業(Facilities)」などがあります。 

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

「マーケティング&新規開発事業」では、LNGおよび天然ガスの販売戦略、新規事業を行い、「パイプライン事業」ではカナダおよび米国の主要市場において、原油、天然ガスパイプライン輸送、貯蔵サービスを中心に事業展開しています。

競合他社

 競合他社として、天然ガスパイプライン事業、製品パイプライン事業、ターミナル事業およびCO2事業の四つのセグメントを通じて事業を展開するキンダーモルガン(KMI)、中流サービスの提供、天然ガス液(NGL)システムを所有し、天然ガスの収集、処理、貯蔵、輸送資産のネットワークを構築するONEOK(OKE)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は今年6月の高値まで回復していませんが、マーケット全体が下落する中年初から1~2割程度上昇して推移しています。また、配当は横ばいで推移しています。

 今年3月、カナダ西部の天然ガス事業をKKR & Co Incと統合し新会社「Newco」を発足することを発表し、7月28日に全ての規制当局の承認を得ることができたとの発表がありました。

 そういった積極的な事業拡大と、良好な市場環境を追い風に好調な業績を維持しており、株価も堅調に推移しています。

 また、新会社発足後に配当金の引き上げも計画されており、配当を目的とした継続的な買いが入ることが期待されます。

業績動向

 2022年8月4日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。

 インフレによるコスト増がありながらも、原油とNGLの市場価格の上昇やカナダのアルバータ州で展開するPeace Pipe Lineで販売量が増加していることなどから、業績は好調に推移しています。

 今後は新会社「Newco」がさらなる業績拡大をもたらすことが期待されており、今後も堅調な業績が予想されています。

 次回は2022年11月3日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるか注目です。

注意点

 配当金は当初カナダドルで出て、その後米国ドルに切り替わるため、カナダドルと米国ドルの関係で配当金の受け取り額が変動する可能性がある点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:1.99ドル
配当利回り:5.43%
株価:36.64ドル(約5,200円)

 この銘柄、権利落ち日は10月下旬(権利実施は11月中旬)です。

 配当利回りは9月13日時点で5.43%、株価は36.64ドルでおよそ5,200円から購入できます(1USD=143円計算)。

 2019年3月からの最高値は42.37ドル、最安値は11.66ドルとなっています(終値ベース)。