なぜ10月16日開幕なのか?景気と人事を巡る微妙な関係

 日程に関して、開幕日から47日前の発表は自然な流れだと理解しています。10月16日という開幕日も、「早めの開催なんだな」という第一印象がありましたが、決して異例ではありません。過去数回の党大会スケジュールを振り返ってみたいと思います。

第16回大会     2002年 11月8~14日
第17回大会 2007年 10月15~21日
第18回大会  2012年 11月8~14日
第19回大会 2017年 10月18~24日
第20回大会 2022年 10月16日開幕
筆者作成

 ご覧の通り、党大会は5年に1度、基本、秋(9~11月)に開催されてきました(1949年の建国後で見ると、1969年の第9回大会が4月、1973年の第10回大会と1977年の第11回大会が8月に開催されている)。一点だけ、第16回大会以降、11月と10月が交互に来ていた経緯から、今回は11月かなと予想していた側面もあったので、上記の第一印象とも重なりますが、「おお、10月なんだ」、「習さん的には早くやってしまいたいんだな」という感想を抱いたというのが正直なところです。

 閉幕時には今回の党大会を経た新たな指導体制の全貌と内訳が相当程度明らかになりますが、その時、なぜ10月という時期の開催を決定したかが分かる気がしています。この点、党大会閉幕後、検証作業を加えたいと思います。

 10月16日開幕に関して、1点指摘すると、2022年7-9月期の主要経済指標(国内総生産、固定資産投資、社会消費品小売総額など)の統計結果が10月18日に発表される予定で、それよりも前に開幕したいという思惑が党指導部にはあるのではないかと推察しています。先週のレポートでも検証したように、新型コロナの感染拡大に伴うロックダウンや猛暑による電力不足などを背景に、足元の景気は芳しくなく、7-9月期においても、0.4%増という市場予想を下回る結果に終わった4-6月期からの劇的なV字回復は期待できそうにありません。

 そんな中、市場の予想や世論の期待を裏切るような統計結果が発表されてから開催するよりも、それより前に開催してしまうほうがダメージコントロールはしやすくなると考えているのでしょう。というのも、党大会の閉幕時(10月22日の見込み)に指導体制をめぐる新体制がお披露目になりますが、私の見方では、遅くとも開幕時には新体制の人事が相当程度固まっています。要するに、7-9月期の経済統計が発表される頃には、党人事が基本的に確定している、言い換えれば、7-9月期の景気がどれだけ悪かったとしても、人事に影響することは原則ないということです。

 ここで、「相当程度」、「基本的」、「原則」という類の言葉を連発したのは、特に多難の年である2022年に開催される、中国の今後の方向性を左右し得る第20回党大会をめぐるあらゆる事象や局面には、外部からは計り知れない不確定要素がうごめいていると考えるからです。中国問題(政局、市場、世論、対外的な動きなど)を巡って、断定は禁物だと考えるゆえんでもあります。